17, 拒絶 1

 

 

 

「…じゃあ、ディアッカは投降してから後の記憶がないの?」
キラの言葉に、イザークは頷いた。
「ああ。こいつの中身は、17歳のまんまだ。
アスランにあれだけ突っかかって行ったことからも良くわかった。」
当のディアッカはふてくされた表情でそっぽを向いている。
 
 
「…お父様には、私から連絡するわ。知らせないわけにもいかないし。」
ミリアリアは折れそうな心を鼓舞して立ち上がった。
「おとうさまぁ?」
ディアッカの剣呑な声に、ミリアリアはびくりとして振り返った。
「なにそれ、親父のこと?」
「…そうよ。」
「なんでお前が親父に連絡すんだよ?そもそも、俺は親父とは…」
ミリアリアの心はもう限界だった。
 
 
「いちいちうるさいわね!私があんたの婚約者だからよ!
婚約者の私が、あんたのお父様に連絡するのに何か問題でも?」
 
 
きっ、と碧い瞳で睨まれたディアッカだけでなく、そこにいる誰もが固まった。
ミリアリアはそれ以上ディアッカを見ることなく、くるりと振り返り出口まで行くと、ドアをバタン!と閉めた。
「…なんだ、あいつ…」
ディアッカは呆然と呟いた。
 
「君と出会った頃のミリィ、だね。」
 
その声にディアッカは顔を上げた。
自分と似た、紫の瞳に柔らかい表情の青年。
「…お前、誰だ?」
ザフトの隊長服を着ているが、この青年の顔はディアッカの記憶にはない。
 
 
「僕はキラ・ヤマト。
君の記憶に沿って話をするなら、AA所属、ストライクのパイロット、だよ。」
 
次の瞬間、ディアッカの絶叫がこだました。
 
 
「ストライクのパイロットぉぉ?!」
 
 
アスランが、溜息をつくイザークの肩をたたいた。
 
 
 
 
『ミリアリア?珍しいね。どうかしたかね?』
タッドの柔らかい声に、ミリアリアは零れそうになる涙を抑えた。
 
「ディアッカが…事故に遭いました。」
 
『何だって?』
タッドの声が一気に変わった。
「たいした怪我はありません。ただ、頭を打ったようで…記憶を失ってしまいました。」
『…記憶を?』
「はい。先の大戦でバスターを堕とされた所までしか記憶がないようです。
17歳の時点で、ディアッカの記憶は止まってしまっているんです。」
『では、君のことは…』
「…覚えていません。ナチュラルの私が近くにいることも嫌がっているので、間違いないと思います。」
『なんということだ…』
「お父様、私…」
『…今、どこの病院に?』
「軍の病院にいます。」
『すぐに迎えの車を行かせる。エルスマン系列の病院に移そう。
私もすぐそこに向かうから、君は私と一緒に来たまえ。』
「お父様、でも…」
『自信を持つんだ、ミリアリア。
君は、ディアッカと生涯をともにすると決めたのだろう?』
ミリアリアは頷いた。
「はい。では到着までディアッカと一緒にいます。」
『辛いかもしれないが…息子を頼むよ、ミリアリア。』
「はい。大丈夫です」
 
 
ミリアリアは通信を終えると、目に溜まった涙をごしごしと拭って立ち上がった。
 
 
 
 
 
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2014,6,15up