42, 交渉 3

 

 

 

 

「ジェレミー、計画に狂いが生じはしないのか?アーガイルとか言う参事官まで…」
 
 
通信を終えたユーリはたまらず背後のジェレミーを振り返った。
 
「確かその男も、元AAのクルーだったはずだ。ならばエルスマンの息子とも知己だろう。
奴らに関わりがあるのなら、その命、我らの復讐に役立てて貰えば良い。
それとも…ハーネンフース嬢を」
「それは止めてくれと言ったはずだ!」
 
語気を強めるユーリに、ジェレミーは呆れたような視線を向けた。
 
 
「ただの元婚約者候補だろう?しかも成立すらしなかった。ずいぶんと肩入れするではないか?」
「…彼女が色々と苦労をして来たのを見ているからな。ニコルとの関係も悪くはなかった。無論、音楽を通した友人としてだが。」
「ふん…分かった。良い駒だが、約束通り彼女には手は出すまい。他ならぬ君の頼みだからな。」
「…そうしてくれると、ありがたい。」
 
 
ユーリは張り詰めた空気を解すように話題を変えた。
「MSは既に調整済みだ。地球からパイロットも数名呼び寄せた。もしもの時は…良いのだな?計画通りで。」
ジェレミーはくすりと微笑み、頷いた。
「ああ、仕方なかろう。志半ばで頓挫する訳にはいかん。時間はあるのだ。焦らずとも良い。諜報員からの連絡は?」
ユーリは手元の端末に手を伸ばし、眉を寄せた。
 
 
「…1時間前から通信が遮断されているな。故意なのかエラーなのかは分からんが…。」
「ほう。盗聴が露見したと?」
「分からない…が、可能性が無いわけではないな。」
「…ラクス・クラインにアンドリュー・バルトフェルド。どちらも一筋縄では行かぬ相手だからな。」
「すぐにあちらの諜報員に連絡して確認させよう。」
 
ユーリは端末を手に立ち上がった。
「ジェレミー。君も少し休んだらいい。あまり顔色が優れないようだぞ。」
 
 
「…やっと、奴らに思い知らせることが出来ると思うと眠れんのだよ。」
 
 
そう言って何かに取り憑かれたように笑みを浮かべるジェレミー・マクスウェルを、ユーリはぞっとしたような表情で見つめていた。
 
 
 
 
 
 
 
016

 

 

キリが良かったので、短くまとめてしまいました;;
ごめんなさい(汗汗
ジェレミーとユーリの不穏な会話。
シホの名前もここで初めて話題に上がります。
まだまだ表に出ていない計画があるようです。

 

 

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2015,3,5up