18,涙… 1

 

 

 
目的が定まったAAの動きは早かった。
昔から最小限の人員で艦を動かしてきた慣れもあるのだろう。
その事をよく知るディアッカ、アスランはともかく、イザークはかなり面食らった様子だった。

 

 

MS奪取作戦は明後日の決行が決まった。
カズイが拉致されてからそろそろ1週間になろうとしている。
彼一人でも、カトー教授のデータ解析が出来さえすれば機体の開発は進められる。
あまり時間はなかった。

 

ディアッカたちは廃コロニーに降り、ヴァレンタインのアジトに侵入する。
皮肉にもそこからの任務は自分達にとって2度目となる、MSの奪取であった。
エターナルからはキラとアスランが降下する。
アスランはイージスの奪取を、キラはテロリストたちの迎撃をクライン派のMS部隊とともに受け持つことになっている。
カズイ・バスカークに関しては、白兵戦にも通じているフラガを中心にAAサイドで救援隊を派遣するらしい。

 

ディアッカはイザークと共に格納庫にいた。
マードック達整備クルーの腕はディアッカも全幅の信頼を寄せているところであったが、几帳面なイザークに付き合う形で詰めていたのだ。
ミリアリアは今頃何をしてるのだろう。
ブリッジに確認するとCIC席にはすでにいないとのことだった。
ターミナルで情報収集だろうか?
それとももう休んだのか?

 

気になりだすと止まらない。
ディアッカはイザークに一度自室に戻ると言い残し、格納庫の床を蹴った。

 

その頃、ミリアリアは食堂でコーヒーを準備していた。
自室からクリスタルマウンテンを持ち出し、お湯をケトルで沸かしゆっくりと準備をして行く。

 

明日の奪還作戦では、ミリアリアとサイもコロニーに降下する事になった。
基本的に前線には出ないよう配慮はされているが、カズイの救出部隊とともにコロニーに侵入し、必要があればセキュリティの解除や救出活動に従事する。
護衛対象であるカトーゼミのメンバーが一同に会する結果になるこの作戦に、ノイマンやフラガはひどく難色を示した。
だが、もしも彼らの知識が必要な事態が起きた時、すぐに動ける自分たちがいた方がいい、と言うサイの主張に、彼らも渋々頷いたのだった。
問題は、ディアッカにまだこの事を知らせていないことだった。
へーそうなんだ頑張って、で済むわけがないだろう。

 

「穏便に話ができればいいんだけど…」
「誰と?」
「そりゃディアッカと…ええっ!?」
ミリアリアが慌てて振り返ると、そこには格納庫にいるはずのディアッカが立っていた。
「ミリィ?」
紫の瞳が眇められ、ミリアリアを捕らえる。
ディアッカは妙なところで勘が鋭い。
ミリアリアは覚悟を決めた。
多めに作ったコーヒーは、ここに置いて行けば誰かしら飲むだろう。

 

「…ここじゃ何だし、ディアッカの部屋に行っていい?」
「…ああ。」
二人は言葉少なに歩き出した。

 

 

 

016

波乱の予感…です

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2014,6,10up