「あれ?あ、おはようございます。キサカさん。姫さん達も。」
翌日早朝。
表に出たディアッカを待っていたのは、カガリとアスラン、そしてキサカだった。
シンも赤服に身を包み、アスランの横に立っている。
「ギリギリで悪い。俺が最後?」
そう言って頭を掻くディアッカに、カガリが少しだけ意地悪な笑みを向けた。
「おはようディアッカ。どうせ遅くまで、ミリアリアと通信で話し込んでたんだろ?」
からかうような言葉に、くすり、とアスランが微笑む。
「だってしょーがねぇじゃん、寂しい思いさせちまってるし。」
「ああ、その事なら心配いらないぞ?これからしばらくはこの私が、あいつにそんな思いはさせないからな。」
「は?」
カガリは満面の笑みを浮かべ、自慢げに宣言した。
「私とアスランは、この後プラントへ向かうんだ。あちらで行われる慰霊式典に出席する為に、な。」
「……はぁぁ?!マジかよ!」
ディアッカの素っ頓狂な声に、カガリは満面の笑みのまま頷いた。
「…ミリアリアさん、良かったじゃないですか。カガリ代表と仲いいんでしょ?」
キサカが用意した移動用の高速ヘリを操縦しながら、シンはちらりとディアッカに視線を投げた。
「ああ。あいつは停戦してそのまま俺がプラントに連れて来ちまったからな。
あっちで話せる女友達っつったら、シホかラクス嬢くらいじゃねぇ?」
「ラクス・クラインと友達ってのも、それはそれですごい事ですけどね…」
シンは溜息をついた。
「ま、ミリィもいい気晴らしにはなるんじゃねぇの?最も、姫さんが無茶な事言い出さなければ、だけどな。」
ディアッカは、お前も充分気をつけろよ!と笑顔で手を振るカガリの姿を思い出し、くすりと笑った。
「無茶な事?なんですかそれ?」
「んー。…ザフトの軍服着てその辺歩いたり、とか?」
「…どう考えたって、そんなことあるはずないじゃないですか。例えがおかしすぎですよ。」
ーーまぁ、普通の神経の持ち主ならそう考えるよなぁ…。
2年前の心労を思い出し、ディアッカは軽く溜息をついて窓から外を眺めた。
「ところで。お前はもう平気な訳?」
しばらく黙っていたディアッカの声に、シンはそちらを振り返る。
そして、しっかりと頷いた。
「昨日は…ありがとうございました。もう、大丈夫です。」
「そっか。ならいいけど。」
細かい事を聞いて来ないディアッカの心遣いが、今のシンにはとてもありがたかった。
もう少し落ち着いたらーーーきちんと、この人にも自分の思った事を話そう。
そう心に決めて、シンは目的地へとヘリを飛ばした。
鬱蒼とした木々が茂る森の中。
そこに、ダストコーディネイター達の暮らすコミュニティはあった。
質素な作りの家屋が建ち並ぶ集落に、ディアッカとシンは足を踏み入れる。
面会の手筈は、フラガの伝手を辿って既に整えられているはずであった。
と、どこからか屈強な男が数人現れ、二人の前に立ちはだかる。
ディアッカはしっかりと顔を上げ、口を開いた。
「ザフト軍エルスマン隊隊長、ディアッカ・エルスマンだ。こっちは副官のシン・アスカ。
…オーブのジャーナリストから話が行っているはずだ。そちらのトップの元に案内してほしい。」
男達の値踏みするような視線を、ディアッカは臆する事なく受け止める。
「ーーーこちらへ。ボスの元に案内する。」
低い声でそう告げられ、シンは思わず詰めていた息をそっと吐き出した。
「ようこそ、コミュニティへ。私はザイルだ。ここを取り仕切っている。
…隊長殿は、ずいぶんと整った容姿をお持ちだな。」
案内されたのは、質素だがこざっぱりと整頓された部屋だった。
余計なものは置かれておらず、壁にかかった大きなパネルだけがやけに目立つ。
ザイルと名乗った、どこかバルトフェルドを彷彿とさせる壮年の男性はゆっくりとソファから立ち上がり、ディアッカとシンを出迎えた。
「…ディアッカ・エルスマンです。こちらは自分の副官のシン・アスカ。俺は生まれも育ちもフェブラリウスですがシンはオーブの出身です。」
ディアッカの紹介に、シンは慌ててぺこりと頭を下げた。
「ラスティから聞いているよ。最高評議会議員の息子さん、だそうで?
その出自といい容姿といい、私たちと対極にある君らが一体何の用でこちらに?」
嫌みとも取れるような物言いと鋭い視線。
背後で息を飲むシンだったが、それをディアッカは真っ向から受け止めた。
「…そう、見えますか。」
「ーーなに?」
予想外であっただろうその言葉に、ザイルが少しだけ戸惑った表情を浮かべる。
ディアッカはくすり、と笑った。
「単刀直入に言わせてもらう。あなた方にプラントを来訪してほしい。そして最高評議会で、ダストコーディネイターの存在について証言してほしい。」
そこにいる誰もが、その提案に息を飲み、言葉を失った。
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次はシン、と言いつつディアッカメインになる予感が(汗汗
2014,11,10up