さむい…。
ミリアリアはずり落ちたブランケットを引っ張り上げた。
なんだろう、やけに肌触りがいい…。
サラサラしてまるで素肌に直接…。
「うそっ!」
ミリアリアは慌てて飛び起きた。
そしてすぐに、自分が何も身につけていないことに気づき、きゃあと叫んでブランケットを巻きつける。
そして必死で記憶を辿る。
ディアッカと再会して、非常階段で想いを伝えてキスをして。
そのあと、大泣きしてしまったミリアリアをディアッカがここまで運んでくれて。
それで、セキュリティの話をしたのよね?
そうしたら、ディアッカが自分の事を「ミリィ」って呼んで…くれて。
嬉しくて。
そのあと、ディアッカに押し倒されて、付き合うって…それで…。
記憶を辿るに連れて恥ずかしさで顔を赤らめるミリアリアだったが、時計を見てハッとする。
「やだ、仕事!」
まだ少しけだるい身体を叱咤して、ミリアリアはシャワールームに向かった。
本当は天使湯に行きたかったが、後でディアッカ達を案内するつもりだったので自室でシャワーを使うことにしたのだ。
相変わらずのディアッカにすっかり翻弄され、結局意識を手放してしまったけれど、目覚めはとてもスッキリしていた。
目眩もすっかり治まっている。
──でも、出来れば目が覚めた時、ディアッカにそばにいて欲しかった。
「夢かと思っちゃうじゃない、もう…」
ミリアリアの全身が、身体に残されたいくつもの赤い印が、そうではない事を物語っているけれど。
それでもやはり不安で、手早くシャワーを済ませたミリアリアは、身支度を済ませるとディアッカを探して自室を後にした。
「すみません、遅くなりました!」
ブリッジに入り、着席するクルー達にそう声を掛けると、数名のブースからばさばさと書類や携帯端末、ペンが落ちた。
…そんなにびっくりさせたかしら?
不思議に思いつつも、慌てて足下に散らばる書類を拾うチャンドラを手伝いながら、何の気なしにミリアリアはディアッカの事を尋ねた。
ドゴッ。
あまり艦橋では聞きなれない音にミリアリアがそちらを見ると、後頭部を抑えて呻くノイマンの姿があった。
どうやらコンソールか何かにぶつけたらしい。
「ノイマンさん、大丈夫ですか!?」
そう言って顔を覗き込むと、なぜか顔を赤らめるノイマン。
具合でも悪いのかしら…?
首を傾げるミリアリアに、なぜか目を泳がせたノイマンが、ディアッカ達がマリューの案内で充てがわれた部屋に向かったことを教えてくれた。
「ありがとうございます」
笑顔でお礼を言ってブリッジから出て行くミリアリアの後ろ姿を、複雑な表情で見つめるクルー達。
そこはかとなく漂う哀愁。
ノイマンが、頭をさすりながら溜息をついた…。
2014,6,9up
2017,9,23改稿