テロの現場は、ディアッカ自身も任務で経験がある。
軍人でも気を抜けば正気を手放すこともあるあの場所に、ミリアリアはたった一人で巻き込まれたのだ…。
「ミリィは、さ。ああいう子でしょ?きっと真摯に彼らと向き合っていたんだろうね。だからテロリストから攻撃を受けた時、ダストコーディネイター達はミリィを匿ったんだ。絶対出てくるな、その代わり自分たちの真実を世界に伝えてくれ、そう言ってミリィを隠し部屋に閉じ込めて戦いに出て行ったって…ミリィから聞いた」
いつしかディアッカは拳を握りしめていた。
「それで…そいつらはどうなったんだ?」
キラは、ディアッカから目をそらした。
「全滅、したよ」
ディアッカは握っていた拳を振り上げ、壁に叩きつけた。
ダンっ!と大きな音が響く。
「ミリィは、その様子をカメラに収めてたんだ。駆けつけたカガリの部下に救助された後オーブに戻ったミリィは、彼らとの約束通り成功したインタビューを記事にして、写真とともに世界に公表しようとした。でも、それは叶わなかったんだ…。様々な権力に潰されて、ね。その頃から、ミリィは発作を起こすようになった」
時に強気で無鉄砲、だけど本当は寂しがりで優しいミリアリア。
そんな経験をして、どれほどに心は疲弊し傷つき、絶望しただろう。
それだけの精神的負荷を感じれば、過呼吸症候群を発症してもおかしくはない。
「ミリィはそれでも、活動をやめなかった。もちろん、カガリの強い勧めで専門の医師のカウンセリングは受けていたけど、そんな中でもがむしゃらに動いてたよ。発作も一年位でほぼ出なくなった。だから今回は僕もびっくりしちゃってさ」
不意にキラが、それまでの沈痛な表情が嘘のようにディアッカを見て微笑んだ。
「ディアッカのせいなんじゃない?」
一瞬、ディアッカは言われた意味が理解できなかった。
しかし次の瞬間、イザークさえ見たことのないような剣呑な表情を浮かべる。
「な…!キラ、てめぇ…」
そんなディアッカを前にしても笑顔はそのままで、キラは話を続けた。
「あ、誤解しないで。悪い意味じゃないんだ。ミリィは本当はすごく、君に会いたかったんじゃないのかな。
だから、突然君がAAに来る事を知って、動揺したんだと思うよ。それこそ、治まっていた発作が出ちゃうくらいね」
ディアッカの表情が緩んだ。
「お前…」
「君にとってミリィが大切な人であるように、僕にとってもミリィは大切な人なんだよ?ああ、そんな顔しないでよ。もちろん、大切な友達、って事でね。だから、この事話そうと思ったんだ」
ミリアリアをよろしくね、ディアッカ。
キラは最後にそう言うと、複雑な顔をするディアッカににこりと微笑み、ヴィジホンのモニタから消えた。
そして緊張から解かれたディアッカは、軍服がシワになるのも構わずベッドに倒れ込んだ──。
2014,6,9up
2017,9,23改稿