夕食はシフォンケーキ 2(菫ver, )

 

 

 

 
このお話はR18要素を含んでいます。

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

閲覧は自己責任でお願い致します。
 
 
 
 
「っや…こな、ついてる…」
 
ちゅ、ちゅ、とシェリーの指に一本ずつ唇を落とすアリーに、シェリーは抗議の声を上げた。
お気に入りのエプロンも、その下に着ていた服も、今はベッドの下に丸まっていて。
シェリーはいつになく強引なアリーの行為に驚きながらも、うっとりとした瞳でその綺麗な顔を見上げる。
形の良い白い胸には、いくつもの赤い痕。
普段なら痕をつける事などしないアリーのその行為にも、シェリーは驚いていた。
指から唇を離したアリーが柔らかく微笑み、そのまま深く口付けられて。
シェリーの力の抜けた足が抱え上げられ、膝裏に手がかけられそのまま大きく広げられると、アリーはその中心に一気に腰を落とす。
 
「んんん!ん!!」
 
それまで散々焦らされていたそこはすんなりとアリーを受け入れ、シェリーはしびれるような快感に唇を塞がれたまま声を上げた。
すぐに激しい抽挿が開始され、解放されたシェリーの口から甘い嬌声が零れる。
 
 
こんな風に自分を強引に抱いたのは、かつて関係を持っていたディアッカだけ。
でもーーー何かが、違う。
与えられる快感に感じ入りながらも、どこか冷静にそう思ったシェリーは、アリーが耳元で囁いた言葉に思わず目を見開いた。
 
 
「シェリー…愛してる」
「あ、ああ…あ、んっ」
 
 
自分の中心がその言葉に反応し、アリーを締め付けるのを感じて先程よりさらに甘い声を上げたシェリーは、唐突にその違和感の正体に気付いた。
 
アリーが今シェリーに与えてくれているのは、溢れるばかりの愛情と、快感。
そしてシェリーもまた、アリーに溢れるばかりの愛を感じていた。
 
ディアッカとの行為にも、関係を持った事にも後悔はしていない。
でも今なら分かる。
あの時、ディアッカの心はシェリーに向いてはいなかった。
なぜなら、同じような行為でも、アリーのそれはシェリーの為だけに、彼が与えてくれていると分かるから。
 
 
だからこんなにも自分は感じ入り、乱れてしまうのだ。
 
 
そう思った途端、アリーの動きがさらに激しく深いものとなり、シェリーは一気に高みに押し上げられる。
「や、あああっ!アリ…そんなに、あ、したら…」
急に恥ずかしくなり、弱々しく目の前の胸に手を伸ばすと、腰の動きは止めぬままアリーがシェリーの体に密着し、苦しいほどに抱き締められる。
「シェリー…愛して、る…」
耳元で囁かれ、どくん、と鳴った胸の鼓動を気付かれたくなくて、シェリーもまた細い腕をアリーの背中に回すとぎゅっとしがみつき、必死で想いを伝えた。
「わたし、も…」
アリーが小さく息を飲むのがわかったが、シェリーにはそんなことに構う余裕ももうなかった。
「あ、あん、は、ぁ…ア、リー…愛し、てる…あ、あああ!」
その、喘ぎまじりの言葉をしっかりと聞き取ったアリーは、ふわりと微笑む。
そして、今までに無いほど激しくシェリーを責め立てた。
 
「や、だめ…あああ、ああああ!」
 
一気に昇りつめ、ゆるゆると弛緩するシェリーの熱い体を抱き締めながら、アリーもまた、何度も深く自身を捩じ込み、果てた。
 
 
***
 
 
『アリー?なんだよ、珍しいな』
「ああ、おまえもう家?」
『そうだけど?ああミリィ、そのスパイス取って』
「……お前、何やってんの?」
『あ?カレー作ってんの!ミリィがさぁ、俺の作ったカレーが食べたい、って言うからさ』
『半分は私も手伝ったでしょ!』
 
後ろから聞こえた電話の相手ーーディアッカの愛妻の声に、アリーはくすりと笑った。
 
「相変わらず、仲いいねぇ」
『まぁね。で、どうした?』
アリーはバスルームにちらりと目をむけて、ふふ、と笑う。
 
「ああ。お前の奥さんにお礼言っといてほしくて電話したんだ。……色々、ありがとうって。」
『はぁ?』
訳が分からない様子のディアッカ。
「そう言えば分かるから。ああ、誤解すんなよ?俺とお前の奥さんの間で何かあったとかじゃないから。」
『は?当たり前だろそんなん。俺のミリィに手なんて出してみろよ。いくらお前でも…』
『ばばば、馬鹿じゃないのっ!?』
また聞こえて来た声に、アリーは今度こそ声を上げて笑った。
「ま、とにかくちゃんと伝えてくれよ?じゃ、俺忙しいから。」
『なに、お前まだ仕事してんの?』
「違うよ。これから洗い物すんの。」
『…はい?』
「じゃあな。ミリアリアさんによろしく。」
 
そう言って通話を終えると、アリーはキッチンへと向かう。
シンクに山積みの洗い物達を見下ろすと、自然と笑顔が浮かんできた。
 
 
「…やっぱ結婚て、好きになった同士がするもんだよな。」
 
 
自分たちは婚姻統制に従って夫婦になった。
そこにはじめから愛情があったかと言えば、それはわからない。
しかし、今は。
アリーは手際良くスポンジを泡立てて次々と洗い物を片付けながら、何の気無しに呟く。
 
「そういや、初めてちゃんと、愛してる、って言ったかも…」
「なに、一人でブツブツ言ってるの?」
「うわっ!」
 
危うく泡まみれのボウルを取り落としそうになったアリーが振り返ると、そこにはいつも通りきっちりと身支度を整えたシェリーが立っていた。
さらさらの黒髪にもほっぺたにも、もう粉はついていない。
「いきなり声かけるなって…。ボウル落としそうになったじゃん」
「ーーー洗ってくれてたの?」
シェリーがシンクの中身に気付き、目を丸くする。
「うん。俺はやっぱりこっちのが得意だから。シェリーはケーキ、皿に乗せてよ。」
そう言って洗い物を続けようとシンクに向き直ったアリーの背中が不意に温かくなる。
「…シェリー?」
アリーが首だけをひねって背後を確認すると、そこには後ろからぎゅっと自分の背中に抱きつくシェリーの姿があった。
 
 
「…ありがとう」
 
 
ほとんど隠れてしまっているが、その顔がほんのりと赤くなっている事にアリーは気付き、愛おしさが胸に込み上げた。
「今日の夕食は、シフォンケーキ?」
「……これから他のもの作ってたら、食べ始めるのは最低でも2時間後だわ」
「うん。だから今日の夕食はシフォンケーキね?」
「…いいの?」
ほのかに赤くなった顔を上げ、アリーを見上げるシェリー。
 
「疲れた時は甘いものが食べたくなるじゃん?それに、言っただろ?俺、シフォンケーキ大好き、って。」
「…うん」
 
アリーはさっと手を洗い、水を止める。
そしてくるりとシェリーに体ごと向き直ると、優しく唇を重ねた。
 
 
「ありがと。俺の好物、覚えててくれて。ーーー嬉しすぎて、暴走しちゃった。」
 
 
いつになく激しい行為に疲れてしまったのか、気を失うように眠り込んでしまったシェリーは潤んだ瞳でアリーを見上げ。
嬉しそうににっこりと微笑み、今度は自分からアリーにそっと唇を重ねた。
「シェ…」
「…生クリーム、準備しなきゃ。食べる直前に準備してねって教えてもらったから。」
そう言って冷蔵庫の扉を開けるシェリーの耳は真っ赤で。
勝ち気なくせに照れ屋な妻の後ろ姿に愛おしげな視線を送ると、アリーは残りの洗い物を片付けるべく腕まくりをし、スポンジを手に取った。
 
 
 
 
 
 
 
 
c1

こちらはシェリー視点になります。

婚姻統制で結ばれた時点で、果たして二人の間にはどんな感情があったのか?

それは皆様のご想像にお任せ致しますが、きっと一緒にいるうちに、シェリーは

アリーの優しさにだんだん気がつき惹かれて行ったのではないか、と個人的には思っています。

えみふじ様ver,も併せてお読み頂くと、より二人の心情が伝わるのではないかと思いますvvv

次で最終話です!お楽しみ頂けていれば幸いですvvv

 

 

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2014,11,9up

2016,12,9改稿

2017,8,6台詞一部改稿