13,君と僕と 1

 

 

 

「ディアッカ、急にごめん。今いい?」
 
ヴィジホンの向こうで、キラが微笑んだ。
こうして見ると、キラはとてもMSのパイロットには見えない。
自分とは彩度の違う紫の瞳や整った容姿は彼がコーディネイターである事を如実に表しているが、おっとりとした物腰を見るに、本来争いごとを嫌う優しい性質なのだろう。
 
「ああ、俺は大丈夫だぜ?つーか珍しいじゃん、お前がアスラン抜きで俺に絡んで来るなんてさ」
 
殊更、軽い調子でディアッカは答える。
会話の主導権を握られたくない。何故かそんな気分だった。
しかし、相手はさすがに最高のコーディネイター、キラ・ヤマトであった。
「そうだったかな?で、ミリィとは、話出来た?」
いきなり笑顔でミリアリアの話題を振られ、ディアッカはぐっと言葉に詰まった。
キラが何かを狙ってるのかそれとも天然なのか、ディアッカには判断がつかない。
一瞬、どう答えるべきか迷ったが、キラに嘘を付く理由もミリアリアとの関係を隠す理由もないので、ディアッカは事実をシンプルに告げることにした。
 
「ああ、お前らが離艦した後二人で話をした。で、もう一度やり直すことになった」
「ミリィと?ほんと?」
「嘘ついてどーするよ、そんなん。ちゃんとお互い気持ちを再確認して、恋人同士に戻りました。これでOK?」
 
気恥ずかしさもあり、ついつっけんどんな口調になったディアッカだったが、キラはモニタの向こうで「そっか…」と安心したように微笑み、その後すっと表情を引き締めた。
 
「ミリィ、今どうしてるの?一緒じゃないんでしょ?」
「ああ、今は自分の部屋で休んでる。体調あんま良くないみたいだしな」
 
そう言えば、発作がどうとかマリューが話していた事をディアッカは思い出した。
あいつ、まさかどこか悪いんじゃ…!
 
「ディアッカとミリィが元の関係に戻ったなら、話をしておきたいことがあるんだ」
 
キラの言葉に、ディアッカは心臓を鷲掴みにされた気がした。
 
 
「ミリィ、多分さっきブリッジで過呼吸の発作を起こしたんだと思う。最近は落ち着いてたんだけどね」
 
 
ひどく驚いたりショックな事があると、たまに過呼吸の発作を起こしてしまう、と。
憂い顔で言うキラに、ヴィジホンだということも忘れてディアッカは詰め寄った。
 
「俺と別れてる間、あいつに何があった?」
 
 
 
 
 
 
 
016

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