『じゃあ…あの時インパルスに乗っていたのはシン君だったの?』
ミリアリアの言葉に、ディアッカは首を傾げた。
「あの時?って、お前…」
『私、その時にはもうAAに乗ってたから。タケミカズチが沈む所も全部見ていたわ。…あっという間だった。』
ディアッカはソファに凭れ、息をついた。
「キサカさんの話だと、その空母にシンの恩人が乗っていたらしい。
多分、最後まで残った司令官のことだろうな。アマギさんに話を聞くよう言ってるくらいだから。」
『お互い、知らないままそんなことになったのね…。』
悲しげに俯いてしまったミリアリアを抱き締めようとつい手を伸ばしたディアッカは、これがヴィジホンであることを思い出し苦笑した。
こんな顔をしているミリアリアのそばにいてやれないことが、何だかひどくもどかしかった。
『ディアッカ。シンくんのこと、ちゃんと見てあげてね。必要なら私から館長に話をするわ。』
優しいミリアリアは、シンの受けたショックを思うとたまらないのだろう。
「ああ、分かった。…ていうかお前、やけにシンに優しいよな。」
そう、ミリアリアとシンが交わした約束のことも結局うやむやにされたままで。
そんな場合ではないことは分かっているが、ディアッカは少しだけ、面白くなかった。
『もう、何言ってるのよ?真面目に話聞いてる?』
「聞いてるって!シンのことは、俺だって気になってるさ。
最近少しずつ周りとも打ち解け始めたとこだったし。
でもミリアリアまでなんでそんな気にする訳?」
ディアッカの嫉妬を感じ取ったのだろう。ミリアリアは困ったように微笑んだ。
『だって、なんだか…ほっとけないじゃない。自分のことを粗末にしすぎてるもの、彼。』
ディアッカは、ミリアリアの勘の良さに驚き、息を飲んだ。
『だから、何となく見てられないのよ。危なっかしくて。…ねぇ、聞いてる?ディアッカ。』
ディアッカは、降参、とばかりに手をあげ微笑んだ。
「お前、結構鋭いよな。ほんとにナチュラル?」
『あのねぇ、そんなのにナチュラルも何も関係ないの!
とにかく、シンくんが困ってたら助けてあげなさいよね?』
「かしこまりました、アナタ様。」
『それと…』
ミリアリアが急に言葉を詰まらせた。
「…なに?」
『ディアッカも、あんまり無理しないでね?こっちに戻るのが多少遅れても構わないからちゃんと休んで?
私、何かあってもすぐに行かれないんだから…あんまり心配、させないでよね。』
頬を赤らめ目を泳がせるミリアリアをディアッカはぽかんと見つめ。
そして、柔らかく微笑んだ。
「サンキュ、ミリィ。」
『…ほんとに、無理はやめてね。』
ああ、ここにミリアリアがいたら今すぐ抱き締めたい!
離れていても自分を一番に案じてくれるミリアリア。
それを目の当たりにして、ディアッカの抱いた嫉妬心はあっという間に霧散した。
「ああ、大丈夫。とりあえず明日はシンも俺も休暇にしてあるからさ。」
『そうなの?実は私もお休みなの。シホさんと出かける約束してるのよ。』
「…は?シホと?」
ミリアリアはにっこりと笑った。
『うん。エザリアさんからパーティーに誘われてね。それで、シホさんのドレスを選びに行くの。』
「へぇ…。」
シホは、イザークの恋人でもありミリアリアの数少ないプラントでの女友達だ。
自分のいない間のことは任せておけ、とシホが言っていた事を思い出し、ディアッカはシホに感謝した。
エザリアもまた、寂しい思いをしているであろうミリアリアを気遣い、パーティーに招待してくれたのであろう。
『ディアッカが忙しい思いをしてるのに、なんだか気が引けるんだけど…ごめんね。』
ミリアリアの声に、ディアッカははっと我に返った。
「そこまで根を詰めてる訳じゃねぇから気にすんなって。
明日、イザークもいるんだろ?だったら安心だ。楽しんで来いよ。」
『…うん。ありがとう。』
そう言ってふわりと微笑むミリアリアの姿に、ディアッカも思わず笑顔になったのだった。
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久しぶりにDMの会話が書けて嬉しい(●´艸`)
2014,10,17up