Fashion Check 2

 

 

 

 
「あのニット、ほんとに似合うかな?」
買い物袋をソファの脇に寄せたミリアリアに、シホは大きく頷いた。
「私が保証します。ミリアリアさんはああいうざっくりしたニットが絶対に似合います。
タートルネックな所もポイントです。」
 
 
結構な量の服を買い込んでしまったミリアリアとシホは、ショップが入ったビルにある、大通りに面したティーラウンジで休憩していた。
「帰ったらすぐにしまっちゃわないと。絶対このスカートが合う、とか始まっちゃうわ。」
「ディアッカ、パンツスタイル好きじゃないんですかね?」
「うーん、どうなのかしら?あまり聞いた事ないのよね…。イザークは?」
「ええと…普段からあまりそういった意思表示は無いですね…。だから余計、気になるんですよね。」
 
シホがそう言って紅茶のカップに手をかけた時。
外からガラスの割れるような音が聞こえ、二人ははっと顔をそちらに向けた。
 
 

 
 
「ディアッカ、またテロか?」
緊急出動のアラートが室内に響き、イザークは端末に目を走らせるディアッカに声をかけた。
「…いや。銀行強盗が逃走に失敗して、目の前にあったビルに立てこもってんだってさ。」
「ジュール隊に出動要請は来ているか?」
「んー。今んとこは来てねぇな。いくらザフトが人手不足でも、他にも隊はあるんだ。
そうそうこき使われても困るっつーの。」
 
ディアッカはひとつ息をつき、温くなったコーヒーを口にして顔を顰めた。
「お前、最近自分で紅茶淹れないの?昔はせっせと自分でやってたじゃん。」
イザークは自販機のカップをぽい、とゴミ箱に捨てた。
「…気が向けばな。」
「随分甘えてらっしゃいますね、隊長。」
「うるさい。あいつの淹れる紅茶が美味いからだ。美味いものを欲するのは本能だろうが。」
「ハイハイ。お、続報来たぞ。」
ディアッカが画面をスクロールしーーーぴた、と手を止めた。
 
「どうかしたのか?」
「なぁ、このビル、ショッピングモール入ってるよな」
イザークが画面を覗きこむ。
「それがどうかしたのか?」
 
 
「確か今朝、ミリィがシホと待ち合わせしてここに買い物に行くって言って…」
 
 
イザークの顔色が変わった。
 
 
*****
 
 
「ミリアリアさん、ストール持ってましたよね?」
小声で問われ、ミリアリアはバッグの横に置いていたチェック柄のストールをそっと手に取った。
「巻いていて下さい。」
「え?」
シホは、武器を手に侵入して来た男達から目を離さず言葉を続けた。
 
「無計画な様子を見るに、テロではないと思います。
でも、オーブの軍人である上にザフトの高官の妻であるミリアリアさんの素性がもしばれたら、人質にされかねません。」
 
ディアッカとの結婚はプラント中に報道された為、ただでさえここでは珍しいナチュラルのミリアリアは意外に顔が知られている。
シホの冷静な判断に頷き、ミリアリアは手早くストールをぐるぐると首に巻いた。
 
 
シホは目立たぬように気をつけながら、男達の会話に耳をすませた。
ミリアリアの安全を最優先する為にストールを巻かせたが、本人もその意図をすぐに理解してくれたようだ。
特徴的な跳ねた髪を隠せば、すぐにばれることはないだろう。
 
 
シホは両親に施されたコーディネイトのおかげで、常人より高い聴力を持っている。
どうやら犯人は向かいの銀行に強盗に入り、逃げ損ねた挙句このビルに立てこもるつもりのようだった。
逃走用の車両、人質、という物騒な単語が聞こえ、シホは予想通りの展開に眉を顰めた。
中途半端な時間のおかげか、ラウンジにいた客は自分たちを含めて10人もいない。
多くは成人した大人達だったが、隅の方に子供を連れた女性を見つけ、シホの表情が厳しいものとなった。
 
 
「おい!誰か車を持ってるやつはいないのか!」
犯人が大声を上げた。
しかし、恐怖が先に立つのか誰もその声に返事をするものはいない。
「ちっ…聞こえないのか!一人ぐらいいるだろうが!」
苛立った男が懐から拳銃を出し、天井に向けて突然発砲した。
客達の悲鳴とともにガラスのシャンデリアが割れ、破片がバラバラと落ちてくる。
 
「わ、私の車がそこのパーキングに…」
一人の男性が震える声でそう答え、キーを差し出しながら立ち上がる。
「さっさと出せばいいんだよ!貸せ!」
つかつかと男の一人が近づき、キーをひったくる。
そしてぐるり、と客を見渡し、さらに声を荒げた。
 
 
「今からここへ車を持ってくる!それまでおとなしくしていろ!
おかしな真似をしたら承知しないからな!!」
 
 
そう言って男は車の持ち主にナイフを突きつけ、辺りを牽制しながら外へ出て行った。
 
 
 
 
 
 
 
007

管理人の妄想の中では、お二人の行き先はH&◯あたりです。

シホ、似合いそうじゃないですか?

話に出てくるアイテムも、実際に販売されていたものから選びました(●´艸`)

さて、事件に巻き込まれた事に気付いた男性陣達はどうするのでしょうね?

 

 

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2014,9,21up