「ふあぁ…腹減った…」
ディアッカは欠伸をしながら、寮の部屋へと向かい歩いていた。
手には、出発までに整理しなければいけない資料をたんまりと抱えている。
ひとまずこれを部屋に置いて、食堂行くか…。
ミリアリアの作る料理が恋しかったが、アパートに戻るきっかけも思いつかない。
軍服も取りに行かねばならないが、それはミリアリアのいない昼間にすればいい。
このままミリアリアの顔も見ないでカーペンタリアに行くことになるのか、と肩を落としながら角を曲がると。
「シン…?」
ディアッカの部屋の前には、大きな紙袋を抱えたシンが所在なさげに立っていた。
「お疲れ様です、隊長。」
「あ、ああ。どうした?」
先程とは違う、明確な意思を持った眼差しにディアッカは少しだけ驚き、狼狽えながら返事をする。
するとシンがつかつかとディアッカの前までやって来た。
ずい、と紙袋を渡される。
「うわ!なんだよ急に?!」
「…俺が言うのも筋違いだし、お前が言うなって感じかもしれませんけど…」
「は?」
「…ちゃんと向き合った方がいいと思います。ミリアリアさんと。」
その言葉にディアッカが瞠目する。
「な、え、お前…会ったのか?あいつに?」
その狼狽えぶりに、シンは思わずくすりと笑った。
さっきのミリアリアを思い出したのだ。
この二人は、似た者夫婦ってやつなのかもしれない。
「じゃ、ちゃんと渡しましたから!俺、食堂行くんで。失礼します。」
そう言ってさっさと去って行くシンを、紙袋を抱えたままディアッカは見送ることしかできなかった。
急いで部屋に入り、資料を適当に机に置く。
そしてディアッカは、そっとシンに渡された袋を覗いてみた。
「あいつ…」
ディアッカは袋の中身を次々に出し、ラグの上に並べた。
大小ふたつの保温ポット。
数日分の着替え。
アパートに置いたままだった仕事道具。
そして、ディアッカが何より求めていた、ミリアリアの料理が詰まったランチボックス。
ランチボックスは大小いくつか入っており、ディアッカは中身を確認する。
一番大きなボックスには、まだほんのり温かい、ディアッカの好物たち。
小さなボックスには、数日なら保存のきくおかずや、ミリアリアがいつも焼いているパンが入っていた。
「…こんな食えねえっつーの」
ディアッカは苦笑し、まずは大きな保温ポットに手を伸ばす。
思った通り、中身はクリスタルマウンテン。
自分の好みを熟知しているミリアリアが淹れたコーヒーを口にし、ディアッカは深く息をついた。
そして大きなランチボックスの蓋を開ける。
中には、たくさんのおにぎりと、色とりどりのおかず達。
肉、魚、野菜がバランスよく含まれている。
ディアッカは添えてあったフォークを手に取り、こんがりとちょうどよく焼けた肉を口にした。
程よい味と、柔らかさが口の中に広がる。
「…やっぱ、うめぇな…」
ぼそりと呟いたディアッカは、小さなポットの蓋を開ける。
中身は、熱い緑茶。
おにぎりには、お茶でしょ!
ミリアリアのそんな言葉が聞こえた気がして、ディアッカは微笑んだ。
そして、テーブルにランチボックスを置き自分もソファに座り直すと、まずはおにぎりから攻略を開始した。
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いつだってディアッカの事を一番に考えて、一番欲しいものを与えてくれる存在。
それが、ミリアリアなんです。
2014,8,22up