誓い 2

 

 

 

「ディアッカ、約束覚えててくれたのね。」
「ん?」
「目が覚めた時、そばにいてくれるって。本当にいてくれた。」
ミリアリアの腕に、かすかに力がこもる。
体力の落ちたミリアリアには、これが限界なのだろう。
「ありがとう。…うれしい。」
その言葉に、ディアッカは心が暖かくなっていくのを感じた。
そして、自分の中からさまざまな迷いが消えて行くのがわかった。

 
「ミリィ、ザクの中で俺が言ったこと覚えてる?」
「…脱出する時のこと?」

 
「どこにいたって助けに行く。もう離さないしいなくもならねぇ。」

 

ディアッカは、ミリアリアに回した腕に力を込める。

 
「お前と一生一緒にいる。約束する。」

 

ミリアリアがびくりと身じろぎする。

 
「俺の、正直な気持ちだ。」
ディアッカは、そっと体を離してミリアリアを見つめた。

 
「俺は、お前を守りたい。
ずっと一緒にいたい。
お前の感じた喜怒哀楽全部受け止めたい。
だから…」

 
ひとつ呼吸をして。
「プラントに、着いてきて欲しい。」

 

 

 
ミリアリアの碧い瞳が、大きく見開かれた。
そして、みるみるうちにそこには涙が溜まり。
すぅっと透明な涙が零れ落ちる。

 
「わたし、ナチュラルなのよ?
プラントに行ってもいいの?
わたしがいることで、ディアッカにも、周りにも、迷惑かけるんじゃないの?」
ミリアリアの声が震えた。

 
「プラントにだって、ナチュラルがいないわけじゃない。
戦争だって終わった。
それに、俺がお前を守るから。だから、問題ない。」

 
「でも…仕事だってあるし、ディアッカと一緒にいれたらどんなに幸せかって思うけど。
でもそれでディアッカが危険な目にあったら、私…」
ディアッカの紫の瞳が、強い意志をもってミリアリアを見つめた。

 
「信じろ。俺の事を。
俺はいなくならない。お前を一人にしない。
何より、お前と一緒じゃなきゃ、ダメなんだ。俺が。」

 
ミリアリアの瞳から、またひとつ涙が零れる。
ジャーナリストの仕事に未練がないと言えば嘘になる。
プラントで生活するなんて、今の今まで考えたこともなかった。
何より、自分がいることでディアッカに迷惑がかかるのは論外で。

 
それでも、ミリアリアの中でひとつはっきりしていること。
もう、自分の気持ちに嘘はつきたくない。
ディアッカと、離れたくない。
ならば、どうするか。

 
トール、私間違ってないよね?
もう、迷わなくていいよね?

 
ミリアリアは右手をぎゅっと握り締める。
そして、ディアッカをじっと見つめて、ゆっくり口を開いた。

 

 
「ディアッカは、私の一番大切な人だから。そばにいて欲しいし、もう離れるのはいや、よ。
私、ナチュラルだけど…私もディアッカを守りたい。
また考えなしに無鉄砲なことするかもしれない。きついことも言うし、喧嘩だってたくさんすると思う。
守られてるだけじゃなく、自分の出来ることでディアッカを助けたいから。
…こんな身勝手でずるい私で、ディアッカはいいの?」

 
ディアッカは微笑んだ。

 
「お前じゃなきゃ、ダメなんだ」

 
そんなディアッカをまたじっと見つめて、ミリアリアは決意を言葉にする。

 
「私、ディアッカとずっと一緒にいたい。
ディアッカの事、信じる。
だって私も、ディアッカじゃなきゃダメだから。」

 
ディアッカは、指をミリアリアの頬に走らせ、涙を掬う。
そして、ミリアリアが大好きな紫の瞳と優しい笑顔で彼女を見つめる。

 

 
「俺と、結婚して?ミリィ。絶対、幸せにするから。」

 

 

 
それは、まるで誓いの言葉。

 
ミリアリアの碧い瞳が、見た事のないような色をたたえてディアッカを見つめた。
そして、こくりと頷く。
その拍子に零れた涙が、頬に添えたディアッカの手を濡らした。

 
「…うん。行く…。ごめ…っ、なんか、止まんない…」

 
止まらなくなってしまった涙をぼろぼろと零しながらそう返事をするミリアリアに次に与えられたのは。
ディアッカからの優しい抱擁と、甘くて深いキスだった。

 

 

 

016

急展開。

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2014,6,11up