出たとこ勝負! 2

 

 

 

「くっそ、何なんだよ、こいつらはっ!」
ディアッカは次々に襲いかかるエクステンデット達を仕留めきれずにいた。
とにかく動きが早い。
「全員、赤服レベルじゃねーの?こいつらさぁ!」
『無駄口を叩くな馬鹿者っ!』
イザークもかなりイラついているようだ。
なかなか当たらぬ攻撃に、燃料も心配だった。

 
その時、突如回線がオープンになり、キラの声が響いた。
『フラガ大尉!イザーク、ディアッカ!』
「キラ!!」
『今僕もそこに向かってます!もうしばらく耐えてください!
それと、サイ達と通信がつながりました!まだ音声だけですが、今チャンネルオープンにします!」
モニタが一瞬暗くなる。
『ディアッカ、ぼんやりするなよ!』
イザークがディアッカの前に回り込む。
エクステンデットの放ったビームがディアッカの機体を掠めたのだ。
「悪い、イザーク。」
『こちらイージス!サイ・アーガイルです!何かあれば以後このコードで通信願います!』
サイが、イージスに?
それだけ言うとサイの声は途絶え、キラの顔がモニタに戻った。
『みんな、戦いながらでいいから聞いて。
サイ達は今、自爆装置解除に向けて動いています。
機体は、サイがイージス、ミリィがバスター、カズイがデュエルを担当。
デュエルとイージスはOSロック解除完了、バスターもあと少しで完了との事です!
自爆装置解除後、サイ達を回収して脱出するまでが今回の任務です。
いいですか?』
『了解!』

 

 
ディアッカは、エクステンデットの凶刃をかわしながら驚きを隠せずにいた。
ミリアリアが、バスターに?
その時、ミリアリアの声がディアッカの耳を打った。
『…い、フラガ大尉!』
『お嬢ちゃん!?』
フラガの声がひっくり返った。
『ここに派遣されてきたエクステンデットは、ハワイのラボ出身のようです!
用意されていた軍服に、そう記載がありました。
ブロックワードは確か、「ブレイク」ですよね?これで何とかなりますか?』
フラガは思わず破顔した。
この状況で、俺の事まで気にかけてたってのか、この跳ねっ返りのお嬢ちゃんは!
『大いに、何とかなるさ!サンキュー、お嬢ちゃん!ほんと、いい嫁さんになるぜ!』
これで、戦意を喪失して撤退してくれれば――!
フラガはそのタイミングを図り始めた。
そしてディアッカは。
「ミリィ!」
もう、戦いの中であろうと我慢できなかった。
そして。
『ディアッカ…。私は大丈夫、だから。気をつけて。』
それだけ言うと、ミリアリアは回線をオフにした。

 
「ミリィ、さっきのブロックワードって…。」
サイの問いかけに、ミリアリアは少し間をおいて返事をした。
『エクステンデットにはね、それぞれNGワードみたいなものがあるの。
基本的にはラボごとに、言葉が決まってる。
さっき軍服、を着替えた時、タグがついてたのよ。
エクステンデットに関しては、ターミナルにたくさん情報が出てたから、ね。』
サイは、納得するとともに違和感を感じる。
ミリアリアらしくない、微妙に支離滅裂な言葉。

 
「ミリィ、怪我…痛むんだろ。」
なぜ気づかなかったのか。
あの出血量で、走らせたのは失敗だった!
『…だいじょう、ぶ。痛くても血が出てても、わたしたちはやらなきゃいけない。
ロックの解除、終わったわ。マニュアルも、読んだ。
歩くぐらい、出来るから。外に、出ましょう?』
ミリアリアはコンソールを動かそうとしたが、手が滑ってうまくいかない。

 
コンソールは、左肩から流れる血で染まっていた。
ミリアリアは目を閉じ、シートに深くもたれた。

 
『カズイも準備できたら教えてくれる?』
「ミリィ、無理するなよ?」
『そうだよミリィ!準備は出来たけど、でも…』
ミリアリアは目を開いた。
碧い瞳が熱を帯びる。
『…無理でもなんでも、やらなきゃここで終わりでしょ!?…バスターで道を作る。カズイから先に射出口に行って!』

 
カズイはつい苦笑を抑えられなかった。
トール、女の子って強いよね、ほんと。
デュエルが、ハンガーを離れ歩き出した。
『カズイ…!』
サイの驚いた声に、また苦笑する。
「歩くくらいならいけそうだよ、サイ。これ、一応ナチュラル用のOSだからさ。」
『ほら、サイも早く』
…ここまで来たら、出たとこ勝負、ってね!
「…分かったよ!」
サイもフットペダルを踏み、機体をハンガーから外した。

 
『みんな!10秒以内に射出口から離れてください!』
突然回線が開き、サイの声が各機体に響いた。
今回は、音声だけでなく映像も回復している。
モニタの向こうのサイは、なぜか地球軍の青い軍服を着ていた。
「サイ?なんでそんなカッコ…」
『いいからっ!後で説明するから早くどいて!』

 

 

その時、格納庫から轟音が響いた。
『…なんだ?』
イザークの訝しげな呟き。
しかしディアッカは、一つの可能性に突き当たっていた。
あいつなら、やりかねない。
ディアッカは声の限り叫んだ。

 
「全員、退避だ!」

 

 
その声に皆が飛びのいた、次の瞬間。
射出口から大きなビームが飛び出す。
爆風によってもうもうと上がる埃が消える頃。
イージスとデュエルが。
その後ろに、ライフルを手にしたバスターが、ゆっくりと姿を現した。

 

 

 

016

ついに乗っちゃいました!

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2014,6,10up