17,背中合わせて 1

 

 

 

数時間後。
陣中見舞いと称してフラガとノイマンが一行を訪れた。
そこで目にしたのは、コーディネイターとナチュラルが手を取り合い難関に立ち向かう姿…とは微妙にズレのある光景だった。

 
「イザーク!これ意味違うっぽいよ?おかしなコード出てきたけど?」
「そこまで知るか!というかキラかアスランに聞け!俺は忙しいっ!」
「そこに図面を置いたのは失敗だよサイ。ていうかアスランに図面を渡したらダメだね。その時点からもう使えないよ彼。」
「…。」
「アスラン聞いてるかー」
「ディアッカ!そいつを殴り飛ばせ!俺が許可する!」
「あと1機体分…」

 

呆然と立ち尽くしていたフラガとノイマンだったが、彼らのやりとりに思わず顔を見合わせた。
「年相応なのかそうじゃないのか、ねぇ…」
「それにしては殺気立ちすぎでしょう、この有様は。」
「いや、すっかり打ち解けちゃっていいことじゃない。ちょっと怖いけど」
「程よい手の抜き方を教えるのも大人の役目ですよ、大尉。」
「君も大人だろうに」
この空気を壊すのは色々な意味で気が引けたが、フラガは思い切って声をかけた。
「坊主ども、調子はどうだー?」

 
そこから彼らを休憩させるまでさらに一悶着あったが、それはまた別の話。
一同は散らかったブリーフィングルームで、ノイマンが持参したコーヒーを手に一息ついていた。

 
「で、進捗状況はどうなんだい?」
「4機体分のデータは整理できました。あと1機体をまとめたら、次は機体とデータの照合ですね。」
「でも多分、残り一体はブリッツよ。ミラージュコロイドについての記載がちらほら出てきたから。」
ミリアリアはそう言いながら、机でぐったり突っ伏しているイザークとディアッカの為のコーヒーを準備した。
アスランはいまだ設計図面に没頭しているので、そのまま放置することにする。
サイが「イザークには俺が」とミリアリアからカップをひとつ受け取る。
「気遣いが憎いね、参事官補佐殿は」
そんな軽口を叩くフラガを軽く睨むと、ミリアリアはコーヒーを片手にディアッカの元へ向かった。

 

目がチカチカする。
ディアッカは思わず目を閉じると、深く息を付いた。
プログラミングは確かに得意、というか好きな方だったが、いかんせん久し振りすぎた。
腕がなまってんなー、などと独りごちる。
ふわり、と花の香りがした。
「ディアッカ、コーヒー。」
ミリアリアがいつの間にかそばにやってきていた。
手には、コーヒーカップ。
「ん、サンキュ」
そう言ってカップを受け取る。
ミリアリアの手に、ディアッカの手が触れた。
無意識に、そのまま手を重ね合わせてしまう。
ミリアリアが訝しげな表情になり、ディアッカは手を振りほどかれると思った。
が、予想に反してその手は振りほどかれることなく、ミリアリアは手近な椅子を引き寄せディアッカの隣にすとんと腰をおろした。
そして周りからは死角になる位置を確認した後、ミリアリアがぎゅっとその手を握ったのが分かり、ディアッカはそれとは知らず柔らかい表情になっていた。

 
「ディアッカ、プログラミング得意だったのね。あれだけの内容をこの短時間でやっちゃうなんて、キラが二人いるみたい。」
ミリアリアの言葉に、サイも頷く。
「イザークもよくあそこまで。やっぱりコーディネイターって凄いな、って俺は再確認したよ。」
その素直な言葉に、キラはトールを思い出す。
かつてトールがキラに、同じような言葉をかけてくれたことを。
そんな中、頬杖をついたイザークがサイに向かって言った。
「俺は元々、民俗学が趣味だからな。たまたまだ。ああ、ディアッカはプログラミングもいけるが、ハッキングもそこそこ得意だぞ?」

 

その瞬間。
サイが、ミリアリアが、そしてキラまでもが、イザークをぽかんと見つめた。
「な、なんだ?」
慌てるイザーク。

 

「ミリィ、廃コロニーの座標軸って分かる?」
「ターミナルをチェックすれば大体は分かる。」
「サイ、これ全部解析済んでる?」
「解析だけは。」
「核を組み込むコア、これから見つけるの時間かかるよね、きっと?」
「そうだな。」
「そうね。」

 

キラは、にっこり微笑んでイザークに確認する。
「ディアッカ、ハッキング出来るんだ?」
「さっきからそう言っているだろうが」

 

そんなやりとりを無言で眺めていたノイマンが、動いた。

「その、大体のデータをくれたら、それなりの座標軸を割り出してやるぞ。」

 

こいつらは一体、何の話をしてるんだ?
「…ディアッカ。」
ミリアリアの声で、ディアッカは我に返った。
急展開に一瞬着いていけなかったのだ。
「おい、まさか…」
キラがディアッカに向き直り、さらににこやかに微笑んだ。

 

「君と僕とで、ヴァレンタインのサーバーにハッキングを仕掛けるってこと。OK?ディアッカ?」

 

 

016

キラファンの方、すみません…キャラ崩壊までは行ってないつもりです…

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2014,6,10up