23, 春の嵐 1

 

 

 

 
3月も終わりに近づき、プラントに春の足音が聞こえてきた。
 
「うわ…今日暖かいのね…。コートいらないかも?」
「確か一日中こんな感じだったと思うから、いらないんじゃね?」
少しだけ眠そうな声で返事をするディアッカに、窓を閉めたミリアリアは振り向き、微笑んだ。

 
「寝ぼけて、また事故に合わないようにね?」
「はーい。気をつけます、アナタ様。」

 
ディアッカはおどけた口調で返事をし、ぎゅ、とミリアリアを抱き締める。
「帰りは?」
「ん、いつもどおり。なんも無ければだけど。」
「分かった。夕食何がいい?」
「ミリィが食べたい」
「…あんまり食べ過ぎると、お腹壊すわよ?」
 
ディアッカは思わず吹き出すと、目を逸らして頬を赤く染めたミリアリアの唇にキスを落とした。
「んじゃ、行ってくるわ。お前も気をつけろよ?」
「はい。行ってらっしゃい、ディアッカ。」
ミリアリアは笑顔で手を振り、ディアッカを見送った。
 
 
 

フェブラリウスでの婚約披露から半月と少し。
二人の結婚準備は、着々と進んでいた。
ミリアリアの誕生日にディアッカが贈った結婚指輪は、今も二人の左手に輝いている。
入籍は、ディアッカの母、ティナの誕生日である4月9日に決定していた。
挙式と披露宴は、何故かジューンブライドに拘ったディアッカの提案で、6月に執り行うこととなった。
 
 
ラクスは最近、時間を作ってはミリアリアを招いてお茶会をすることを楽しみにしているようだ。
半分強制的に参加させられるシホやイザークの話では、ラクスは以前よりも親しみやすい雰囲気になったらしい。
「ラクス嬢も、お前のおかげで世界が広がって良かったんじゃねぇの?」
と言うディアッカに、ミリアリアは苦笑いするしかなかった。
 
 
二人で話し合った結果、式はごく親しい友人と親族のみ、披露宴はタッドの交遊関係も考慮し、互いの仕事関係から友人まで広く招待して行うこととなった。
別に内輪でのパーティーも予定しており、地球からはカガリやカズイ、そしてAAのクルー達もやって来ることになっていた。
ミリアリアは、休みの合間に招待状のチェックやドレスの試着、披露宴の打ち合わせなど準備に追われる目まぐるしい日々を送っていた。
 
 
 
そして今日、ディアッカは仕事でミリアリアは休みだ。
溜まった家事に、ディアッカと目星を付けておいたドレスの試着。
「嬉しいけど…忙しいなぁ。」
洗濯物を干しながら、ミリアリアは苦笑した。
 
忙しいけど、これって幸せ、よね。
 
「あ…。誰かしら?」
リビングでヴィジホンが鳴り、ミリアリアはぱたぱたとそちらに走った。
 
 
 
 
「嘘!アスランがオーブに?!」
『ああ、今日正式に通達された。形式上、アスランはオーブ軍属から離れ、ザフトに復帰する。そして在オーブ大使として、こちらに赴任する、そうだ。』
 
ヴィジホンの向こうでそう言って微笑むのは、カガリ・ユラ・アスハ。
ナチュラルとコーディネイターの和平政策が着々と進む今、通信も復帰しこうしてカガリからの連絡も気軽に受けられるようになった。
 
 
「良かったね、カガリ…。アスランとは話したの?」
『い、いや?アスランは任務としてオーブに来るんだし、特に話はしてない…ぞ。』
 
 

アスランたら!やっとカガリの所に戻れるって言うのに!
ミリアリアは溜息をついた。
アスランは二度目の大戦の後、軍籍をオーブ軍へと移していた。
だが実際はプラントに留まり、キラの補佐として働いていたのだ。
カガリの想いを知っている分、その煮え切らない態度と微妙な立場に、ミリアリアは随分やきもきしたものだった。
「…二人で、話してないだけでしょ?」
『公の場ではきちんと話したぞ?それに、迎えに行くって決めたんだ。』
「…は?」
 
『だからっ!私は明日プラントに向けて地球を出る!そちらに着くのは4日後だからなっ!』
 
ミリアリアはあまりの展開に、ぽかんとヴィジホンを見つめた。
 
 
 
 
 
 
 

016

やっとカガリの元に行ける事になったアスラン。

ミリアリアも充実した日々を送る毎日ですが…。

 

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2016,6,19一部改稿