翌朝。
一緒に出たがるディアッカをなんとか先に本部に行かせ、ミリアリアは軍服に着替えるとカズイの元に向かった。
カズイはクサナギに部屋を与えられ、すでに身支度を整えていた。
「あ、おはようミリィ。早いね。」
「おはようカズイ。サイは?」
「もう少ししたらキラと一緒に来てくれるって。もしかして相談してたの?」
ミリアリアは苦笑した。
「アーガイル特別参事官補佐とヤマト准将にそんな時間はありません!
ていうか、カズイとも今くらいしかゆっくり話せないでしょ?
当然、みんな集まるわよ。」
「へへ…なんか、昔みたいで嬉しいな」
そんなカズイの言葉に、ミリアリアも笑った。
「ねぇミリィ、ミリィの大切な人って、ディアッカ・エルスマン?」
唐突なカズイの言葉に、ミリアリアは言葉を失った。
「カズイ、なんで…」
「廃コロニーでの二人を見てたら、一目瞭然でしょ?…よかったね、ミリィ。大切な人をまた見つけられて。」
「カズイ…」
ミリアリアは泣きそうな顔になった。
「ミリィは、なんていうかさ。俺が言うのも変だけど、変なところ我慢するから。
そういうの、ディアッカにはしちゃダメだよ?」
「…サイにも似たようなこと言われたわ。」
「じゃあ、ますます気をつけなきゃね。」
コンコン!
「カズイ、今いい?あれ、ミリィ!」
ドアを開けた姿勢で固まるキラとサイが、驚いた顔でカズイとミリアリアを見る姿に、ミリアリアは吹き出した。
「あのさ、これ、みんなにもらって欲しいんだ。」
そう言うと、カズイは封筒を取り出し、ミリアリア達に手渡した。
「…カズイ、これ…」
それは、あの襲撃のあった日ヘリオポリスで撮影された、カトーゼミの写真だった。
「覚えてる?あの日、カトーゼミがカレッジの広報誌の取材受けたこと。
戦争が終わってエンジニアの仕事始めてから、偶然その時のカメラマンに再会してさ!
なんか、脱出する時データも持って逃げたらしくて。それで、記念にもらったんだ。だから、みんなに。」
ミリアリアは写真を見た。
カレッジの中庭で、ゼミ生たちが楽しそうに喋っている平和な風景。
トールを中心に、みんなが笑っている。
「…カズイ、ありがとう。これ、すごくいい写真だわ。出来たら、トールのご両親にも渡してあげてくれないかな?」
ミリアリアのその言葉に、キラが悲しそうに微笑んだ。
「…キラ、ミリィはもう乗り越えてるよ。」
サイの言葉に、皆が振り返った。
「だから、ミリィはディアッカのところへ行くんだろ?」
「サイ…僕は、トールのご両親にも…」
そう言って辛そうに俯くキラに、サイは優しく続けた。
「俺も、乗り越えてる。フレイの事。」
キラが弾かれたように顔をあげた。
「だからもう、囚われるな。
トールもフレイも、そんなキラを見て喜ぶと思うか?」
「…そうよ、キラ。」
ミリアリアが微笑んだ。
「トールの事、忘れたわけじゃないわ。心の中に、思い出としてちゃんといる。
トールとディアッカの事、比べられないしそのつもりもない。
ただ、トールの事があって、それから私は前に進んで、そしてディアッカを好きになったの。それだけよ?」
「…うん。僕も、前を向いて歩かないといけない。ラクスにもそう言われたよ。」
キラは、はにかんだような笑顔を見せた。
「俺たち、普通ではできない経験を色々したけどさ。
それでも、ずっと繋がっていたいな。」
カズイがそう言うと、ミリアリアも頷いた。
「繋がってるわよ。だから、いつかまたみんなで、この写真みたいにお喋りしましょ?
もう少し世界が平和になって、落ち着いたら。ね?」
カトーゼミのメンバー達は、顔を見合わせて微笑みあった。
ナチュラルもコーディネーターも関係ない、心と心が繋がる信頼。
今度こそ、ナチュラルとコーディネーターは融和の道を進めるかもしれない。
サイは、そう思うとミリアリアに目をやった。
ディアッカと、ミリアリア。
この二人が、未来への道しるべになるのかも、しれないー。
学生時代の友情って、歳をとっても意外と続くんですよね。歳を重ねた分、絆も深まって。
2014,6,13up