心の器 7

 

 

 

 

 

 

 

このお話はR18要素を含んでいます。

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

閲覧は自己責任でお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

そっと頬を撫でられ、荒い息をついていたシホははっと顔を上げた。
そこには心配そうな、恋人の顔。
 
「いざ…く?」
「いや、だったか?」
「っ……!」
 
確かにそんなようなことを口走ったかもしれない。
でも、意味合いが違うのだ。
しかし正直にそんなことを口にするのは躊躇われ、だが誤解を与えてしまうのもそれこそ“いや”で、シホはイザークの頭を引き寄せ、自分からキスを贈る。
 
 
「そういう“いや”じゃ…ない、ですから」
 
 
さらさらの銀髪が頬にかかり、気持ちがいい。
「それなら……よかった」
力の抜けた足を持ち上げられ、その間にイザークが体を滑り込ませる。
大きく広げられた足の間、濡れそぼるそこにじっと視線を落とされ、シホの顔がみるみる赤くなった。
 
「だめ、見ないで……っ」
「見たいんだ。俺が」
 
その言葉に、達したばかりの中心がひく、と反応し、シホの羞恥心とイザークの欲望を煽る。
身じろいだイザークが自身をそこに当てがうのを感じ、シホは小さく声を上げた。
「……いいか」
アイスブルーと薄紫の視線が絡み合い──シホはこくり、と頷いた。
 
 
 
 
「いっ…!い、た……」
初めて感じる軋むような痛みに、シホはイザークの腕をぎゅっと掴んだ。
 
「シホ…」
「ん、あっ、イザー、ク…」
「あまり痛むようなら…」
「や、やめ、ないで……っ」
 
どんなに痛みを伴おうとも、やめないでほしい。やっと、ひとつになれるのに。
 
 
「あいつら、と…イザークは、違う、からっ…!このままっ、続け、て…」
 
 
薬のせいで動けない体をいいように弄られ、泣きながらイザークの名を何度も呼んだあの時。
男たちの前に強引に体を晒され、傷物呼ばわりされ、イザークへの想いまで踏みにじられて。
もう、想うことすら許されないと思っていた。
そんなシホをイザークは好きだと言ってくれて、大切に大切にしてくれて。
この人の隣にいてもいいんだ、と思ってもやはり自信が持てず、想いは押しつぶされ、イザークの優しさに甘えて、嫌われるのが怖くて。
でも──本当は、シホだってイザークに抱かれたかった。
こんな自分を愛してくれるイザークを、全身で感じたかった。
 
「ちゃんと、イザークに…抱かれたい」
 
ひゅ、とイザークは息を飲み、ぽろぽろと涙を零すシホを切なげに見下ろす。
「……俺も、お前が欲しい」
「──ひっ!く…はぁあっ!」
一気に貫かれ、背を仰け反らしたシホの瞳から大粒の涙が飛び散った。
 
 
 
力強い腕に抱きしめられ、揺さぶられて、シホの口から意味をなさない言葉が勝手に零れ落ちる。
じんじんとした痛みは徐々に治まり、それに取って代わるようにじんわりとした快感が体を支配する。
零れ落ちる声はだんだんと甘い嬌声へと変わり、イザークもまた急激に湧き上がる解放への欲求に歯をくいしばった。
「あ、ああ、好き…すき、イザーク…」
ぎゅん、とシホの中がうねり、限界を感じたイザークはシホの唇を塞ぎ注挿を早めた。
 
「あい、してる…シホ……っ」
「ん、んあ、いざ…んううっ…!」
 
全身で繋がりながら、二人はのぼりつめていく。
そして、あっという間にその瞬間が、二人に訪れた──。
 
 
 
***
 
 
 
目を開けると、柔らかく細められたアイスブルーの瞳がシホを見つめていた。
「……あ、れ?わたし……」
「意識を飛ばしてしまったようだな…加減ができず、すまなかった」
「…あ」
自分とイザークの姿に気づき、シホは慌てて起き上がり──鈍い痛みに顔を顰めた。
「少しだけ出血していたが…だいぶ痛むか?」
その言葉に、シホはイザークが自分の分も後始末をしてくれたのだと気づき、頬を赤らめた。
「ううん…平気、です」
我慢できない痛みではなかったし、むしろ、嬉しくて。
シホはふわりと微笑み、細身だけれど逞しい体に頬を摺り寄せた。
 
「ゆっくり休んで構わんぞ。俺も明日は休みを取った」
「──え?!」
 
目をパチクリとさせたシホに、イザークはくすりと笑った。
「俺の親友はお節介なのでな。たまには言う事を聞いてやらんと後々うるさいんだ」
それがディアッカの事を指すと気づき、シホの心がふわり、と温かくなった。
きっと自分たちの事を心配してくれて、上に取り計らってくれたのだろう。
「明日…可能なら、行きたいところがあります」
「行きたいところ?どこだ」
ああ、やっぱり忘れてる。
 
 
「イザークのお誕生日プレゼントを買いに。一人ではどうしても決められなかったんです」
「──誕生、日?」
 
 
ぽかんとするイザークがおかしくて、シホはくすくすと声を出して笑う。
激務に追われるジュール隊隊長は、人の誕生日はしっかりと覚えているくせに自分のそれには無頓着で。
そんな不器用で優しい彼が、どうしようもなく、愛おしい。
 
「少し早いけど、明日はお祝い、しましょう?二人で」
 
そう言ってにっこりと微笑むシホに、イザークもまた柔らかく微笑み──そのまま二人は、唇を重ねた。
 
 
 
 
 
 
 
ma02

 

 

 

予定外に長くなってしまいましたが、これにて10000hitのイザ誕は完結となります。
久しぶりのイザシホ、そして二人の距離がぐっと縮まったお話でしたが、いかがでしたでしょうか?
シホのトラウマを考えるとちょっと急展開かな、とも思っていたのですが、反面早くこうなって欲しくも
あり(笑)悩んだ末書いたお話です。

寄り道ばかりでなかなか長編を勧められていませんが、いつも遊びにいらしてくださる皆様には感謝しても
しきれません。
本当にありがとうございます!
今更ながらの10000hitでお恥ずかしい限りですが、どうぞ楽しんでいただければ幸いです!

 

 

戻る  text

2016,9,4up