「あ、セルゲイさん…これの事言ってたのね…」
ぽかぽかと陽の光が降り注ぐリビングで本を読んでいたディアッカは、愛しい妻の小さな呟きを聞き逃さなかった。
「セルゲイって、あのこないだの優男?」
「ちょ…優男って何よ!それにその雑誌、まだ見てるのに!」
ミリアリアの手からひょいと雑誌を奪い取ったディアッカは、開いていたページに目を落とし…目を見開いた。
「すっげ…何コレ?」
そこには、今まさに沈もうとしている太陽。
夜の訪れを受けて黒く染まる海、橙がかった赤い夕焼け、そして紫の空の配色は自然のバランスがおりなす奇跡のような美しさで。
恐らく地球で撮られたのであろう、海に夕日が沈む瞬間の写真に思わずディアッカは見入ってしまった。
「言ったでしょ?セルゲイさん、フリーカメラマンなのよ。風景とかが専門で、そう言えばこの間会った時も地球に行くって言ってたわ。」
ミリアリアはそう言うと、こてん、とディアッカの肩に頭を寄りかからせた。
「やっぱり凄いわよね…。私にはこんなのきっと撮れないなぁ…。」
セルゲイから先日届いたメールにあった言葉。
『地球で、君の旦那様を思い出す風景を見つけて、写真に収めたんだ。
来月発売する雑誌に掲載が決まったから、良かったら見て欲しいな。旦那様と一緒にね。』
確かに、この紫色はディアッカの瞳とよく似ていて。
ミリアリアはセルゲイの慧眼にただただ恐れ入るしかなかった。
これって、ディアッカに伝えるべき、なのかしら?
少しだけ考え込んだミリアリアは、にっこり笑ってディアッカを見上げた。
「この写真、好き?」
「え?あー…まぁ、うん。すげぇな、って思う。」
「そう。…これね、ディアッカを思い出しながら撮ったんですって。」
「へ?俺?」
心底驚いた顔をするディアッカを、ミリアリアはくすくす笑いながら見上げた。
「ほら、この空の色。綺麗な紫色でしょ?きっとこのせいじゃないかな。」
「ふーん…。」
じっと不思議そうに写真を眺めるディアッカ。
「でも、さ。これミリィもいるじゃん。」
「は?私?」
ディアッカは長い綺麗な指で、とんとん、と夕焼けを指差した。
「このオレンジ色がミリィ。紫が俺。だからコレは俺たち二人の写真。な?」
そう言って優しく笑うディアッカは、悔しいくらいカッコ良くて、ミリアリアは赤くなった頬を隠すように俯いた。
ーーー何でこんな風に、さりげなく恥ずかしいことを言うのだろう、この男は!
「…セルゲイさんに、ディアッカが喜んでたって伝えておくわ。写真、一緒に見て欲しいってメールをもらってるから。」
「ふーん。いいぜ?俺たち二人の為の写真をありがとう、って伝えて?」
「そんな事言える訳ないでしょ!もう!」
そっと雑誌をテーブルに戻したディアッカは、くすくす笑いながら更にぱぁっと顔を赤くするミリアリアを抱き締め、触れるだけの柔らかいキスを贈った。
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おまけ小噺です!
こっちも甘々ですみません;;
セルゲイさんの職業をはっきりさせておきたくて突発的に書き上げました。
夕焼け空って、一秒ごとに色も印象も変わって行って本当に綺麗ですよね!
この作品を書くにあたって、日本海で見た夕焼けを思い出しました(●´艸`)
2014,12,21up