私はあなたのものだから 2

 

 

 

 
「そのままでいいから、聞いて」
ディアッカの声がすぐ近くで聞こえ、ミリアリアは戸惑いながらもこくんと頷く。
予想外の展開に頭がついて行かない。
 
 
「あのさ。昔の俺がしてた事、今では最低だったなって俺自身思ってる。」
 
 
ミリアリアは驚いて顔を上げようとするが、身体に回されたディアッカの腕にさらに力が込められ、それは叶わなかった。
後頭部に手を添えられ、ディアッカの胸に顔を押し付けられる。
 
 
「今さらどうにも出来ない事だけど。
どんなに無茶な事して自分を誤摩化そうとしても、心がついて来なかった。
きっとあの頃から、俺は結局お前だけのものだったんだなって思う。」
 
 
ディアッカの独白のような言葉に、ミリアリアは息を飲んだ。
 
 
「こんな事言ったらまたお前は怒るかもしれないけどさ。
俺はお前が好きすぎて、たまに冷静でいられなくなる。
で、こうやって後で後悔する。その繰り返しだ。
…でも、お前に嫉妬されるの、とか、どうしようもなく嬉しい。
お前も俺のこと独占したいって思ってくれてる、って実感出来るから。…俺、変か?」
 
 
ミリアリアは慌ててふるふると首を振る。
固定された状態でもそれが伝わったのか、ディアッカが安心したように息をつくのが分かった。
 
 
「さっきお前が帰った後…冷静になって考えた。お前の仕事、邪魔してごめん。」
 
 
少しだけ速いディアッカの心臓の音を聞きながら、ミリアリアは体の力を抜いて目を閉じた。
そして、心の中で伝えたい言葉を整理して、口を開く。
 
「…嬉しかったの。ナチュラルである私達が、やっと少しずつコーディネイターにも認めてもらえたんだって。」
「うん。」
「あそこにいた人達が話しかけて来てくれて、普段なかなか出来ないような会話も出来て…。
ただ、嬉しかった。それだけなの。それ以外何も、ないの。」
「…うん。」
 
ミリアリアは意を決して顔を上げた。
暗がりに慣れた目が、ディアッカの紫の瞳を捕らえる。
 
 
「だから…確かにディアッカに邪魔されて、すごく腹が立ったわ。
どうしてこんなに嫉妬深いの、って。信用されてないのかって悔しかった。
でも…それだけ大事にしてもらえてる、って思ったら、あんなに怒った自分が嫌になったの。
それと…あそこでディアッカの過去の話を持ち出すのとは違うって思ったわ。
卑怯な真似をして…私こそ、あの、ごめんなさい…」
 
 
ディアッカの目が、驚いたように見開かれた。
そして、再びミリアリアはディアッカの腕に閉じ込められる。
 
「…卑怯なんかじゃねぇよ。だから謝るな。」
「過去は変えられないもの。なのにそれを引き合いに出したんだから、私も悪いの。
あんな事、言うつもりもなかったし言っちゃいけなかった。だから…ごめんなさい。」
「…うん。」
 
ブランケットから腕を出し、ミリアリアはディアッカの逞しい体にぎゅっと抱きつく。
黒い軍服は、ディアッカの匂いがして。
ミリアリアはどうしようもなくそれが愛おしくなり、固い軍服に顔を押し付ける。
すると、大きな手が、ミリアリアの洗いざらしの髪を撫でた。
 
 
「髪、ちゃんと乾かさねぇと、熱出すぞ」
「…じゃあ、乾かして」
 
 
いつもならしないおねだりに、ディアッカは嬉しそうに微笑む。
腕の中の愛しい存在は、確かに自分のものなのだ。
碧い瞳で自分を見上げるミリアリアに、ディアッカはそっと唇を寄せる。
すると、ミリアリアの手がディアッカの頬にそっと触れた。
 
 
「…私は、ディアッカだけのものよ。今までも、これからも。だから…安心して?」
 
 
唇と唇がぎりぎり触れ合う寸前に発された、まるでディアッカの心を読んだような、言葉。
ディアッカの心臓が、どくん、と音を立てる。
 
 
「…了解。」
 
 
重ねられた唇は、柔らかくて、とても熱くて。
ディアッカはその唇に溺れて行く。
 
ーーー髪を乾かす余裕など、無いかもしれない。
 
頭の片隅でそんなことを思いながら、ディアッカは薄く開いた唇に荒々しく舌を捩じ込んだ。
 
 
 
 
 
 
 
007

5000hit御礼小説です!
えーと…甘くてすいません(笑)
喧嘩ネタ、嫉妬ネタは当サイトの看板のようなものですが(え)、ワンパターンでごめんなさい(汗
ミリアリアが小悪魔的と言うか、当社比2割増くらいで甘いですね。
キリリクの方よりこちらが先のupとなってしまい、大変申し訳ありません。
鋭意製作中ですので、そちらも今しばらくお待ち下さいね!!

この間4000hitのお話をupしたばかりの気がするのですが、あっという間の5000hit、
管理人が一番驚いております(汗汗
長編の更新ペースも大分ゆっくりになって来てしまいましたが、これからも頑張って参りますので
気長にお待ち頂ければ幸いです!

いつも当サイトに足をお運び下さり、また温かいお言葉も頂き本当にありがとうございます!
何度も読み返し、励みにさせて頂いております。
いつも足をお運び下さる全ての方に、このお話を捧げます!
どうかお楽しみ頂けますようにvvv

今後とも、当サイトをよろしくお願い致します!!

 

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2014,10,1up