13, カーペンタリア 2

 

 

 

 
「隊長のお部屋はこちらです。」
「ああ。ありがとう。通信機器ってもう使えるようになってる?」
持ち前の艶やかな声で尋ねると、案内役の女性兵はぽっと頬を染めた。
「は、はい。すぐにお使い頂けます。」
「そ。ありがと。」
こういう反応も久しぶりだな…。
にこり、とこれまた魅力的と称される微笑みを女性兵に送り、ディアッカはキャリーケースを手に室内に入った。
 
 
ここに来るのは、ミリアリアと出会う前、クルーゼ隊の一員としてバスターを駆りAAを追いかけていた時以来だ。
あの頃は、こんな未来ーー自分がナチュラルの女性と結婚して、しかも白服まで着ている!ーーなんて予想もしていなかった。
融和政策が進められて行く中でのナチュラルとコーディネイター同士の結婚は、2年経った今でも何かと話題に上る事も多い。
 
分かんねぇもんだよな、未来なんて。
 
そんな事をぼんやり考えながら、キャリーケースのふたを開け荷物を取り出そうとして。
ディアッカの手が、ぴたり、と止まった。
 
 
 
「あいつ…」
 
 
 
ケースの一番上に置かれていたのは、入籍前にミリアリアがプレゼントしてくれた手編みのマフラーだった。
荷造りは殆ど自分ですませたはずだったが、カーペンタリアの気候がプラントと逆な事にミリアリアは気づいていたのだろう。
さすがにコートはかさばるから諦めたのだろうが、マフラーと一緒に愛用している手袋まで入っていて、ディアッカは柔らかい微笑みを浮かべた。
 
 
やっぱ、うちの奥さんてサイコー。
 
 
ディアッカはそっとマフラーを取り出し、するりと首に巻いてみた。
入れる前にクリーニングしてくれたのだろう。
ミリアリアがいつも使っている柔軟剤の香りと、かすかに感じる花の香りがふわりとディアッカを包み込む。
 
 
「…さっさと片付けて、通信入れるか。」
 
 
つい数時間前に腕の中にあったミリアリアの柔らかい体を思い出し、ディアッカは一抹の寂しさを感じた。
それを振り払うように立ち上がると、首からマフラーを外しソファにそっとかけた。
 
 
 
 
 
 
 
016

ディアッカの「うちの奥さん」発言にキュンとするのは私だけ、でしょうか(●´艸`)

 

 

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2014,9,8up