34, 迎えに来たんだ

 

 

 

 
それから数時間後。
クサナギから出たミリアリアを迎えに来たディアッカは、非常に不機嫌な顔をしていた。
ぐい、と強引にミリアリアの腕を掴み、足早に歩を進める。
「ディアッカ!?待ってよ!転んじゃう!」
ディアッカは無言のままだ。
 
「…ねぇ、どこ行くの?ここ、来たことない…」
「俺の部屋。前に言ったろ?寮にも部屋借りてるって。」
ぶっきらぼうなディアッカの口調。
ミリアリアは泣きたくなった。
 
 
 
ディアッカは、ミリアリアが危険な真似をすることを酷く嫌がる。
それは、恋人としても婚約者としても当たり前の事だし嬉しい事なのだが…。
きっとこの後、スタンガンの出処や先程の行動について問い詰められるのだろう。
ミリアリアはげんなりとした気持ちを抱え、転ばないよう必死にディアッカの歩調に着いて行った。
 
 
 
「入れよ。」
 
まだ時間も早いせいか、人の姿が全くない居住区域。
ディアッカはドアを開けると、半ば強引にミリアリアを押し込んだ。
そして後ろ手にドアを閉め、ガチャリと鍵をかける。
「…こんな広い部屋、一人で使ってたの?」
部屋数は少ないものの、一つ一つの部屋はとても広くて。
ミリアリアは今の状況も忘れ、きょろきょろと室内を見渡していた。
 
「ミリアリア。」
 
肩に手をかけられ、ミリアリアはぎくりと振り返る。
「ここなら邪魔も入らない。ゆっくり話、しようぜ?」
ディアッカの氷のような笑顔に、ミリアリアは少しだけ恐怖を覚えたーー。
 
 
 
 
「カガリ。」
 
クサナギの一室。
カガリはアスランの声にぎくりと身をこわばらせ、そっと後ずさった。
そういえば、まだカガリはザフトの軍服のままだ。
伊達眼鏡は外していたが、髪もほどいていない。
「あ、えーと、その、そうだ、まずは着替えて来よ…!」
カガリの言葉が途中で途切れた。
 
 
「…どうして、そんなに無鉄砲なんだ…」
 
 
耳元でそう囁くのは、アスラン。
いつの間にかカガリは、アスランに抱きすくめられていた。
 
「アス…ラン?」
「カガリ…。無事で良かった。」
 
カガリはそっとアスランの背中に腕を回した。
今なら言える。そんな気がして。
 
 
 
「迎えに来たんだ。アスラン。」
 
 
 
アスランの腕に力がこもった。
「…すまなかった。一番大変な時にそばにいられなくて。それどころか傷つけて、泣かせて。」
カガリはアスランの胸に顔を埋める。
「…ごめん。私こそ、指輪をもらっておきながら裏切るような真似をして。」
「カガリ。俺は…」
「そうだ!指輪。外しはしたけど、今もちゃんと持ってるぞ?ほら。」
カガリは首に下げたチェーンを引っ張り出す。
そこには、赤い石の指輪がぶら下がっていた。
 
 
「お守りだ。くじけそうな時、何度もこれに助けられた。」
 
 
にこりと微笑むカガリに、アスランも軍服の襟元から何かを引っ張り出した。
 
「…お前、これ…」
「俺も、何回もこれに助けられた。」
それは、かつてカガリが送ったハウメアの護り石。
 
 
「…カガリ。勝手な言い分だけど聞いてほしい。俺は、迷って、間違って…大切なものを見失ったままで居た。だけど、やっと分かったんだ。」
 
アスランは、カガリの琥珀色の瞳をじっと見つめる。
 
 
 
「俺はやっぱり、カガリと一緒に、生きていきたい。」
 
 
 
ぽかんとした表情で、カガリがアスランを見上げる。
そして、綺麗な肌の上をつぅっと涙の滴が流れた。
 
「アスラン…また、いっしょに、いてくれるのか?」
アスランは優しく笑った。
「一緒に、いてもいい?」
カガリは何度も頷く。
アスランの腕がカガリを引き寄せ。
 
 
 
二人は、数年ぶりに唇を重ねた。
 
 
 
 
 
 
 
016

タイトルの言葉に、カガリの想いが詰まっています。

一方、静かに怒るディアッカ。ミリアリアはどうなってしまうのでしょう…

 

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