それから数時間後。
クサナギから出たミリアリアを迎えに来たディアッカは、非常に不機嫌な顔をしていた。
ぐい、と強引にミリアリアの腕を掴み、足早に歩を進める。
「ディアッカ!?待ってよ!転んじゃう!」
ディアッカは無言のままだ。
「…ねぇ、どこ行くの?ここ、来たことない…」
「俺の部屋。前に言ったろ?寮にも部屋借りてるって。」
ぶっきらぼうなディアッカの口調。
ミリアリアは泣きたくなった。
ディアッカは、ミリアリアが危険な真似をすることを酷く嫌がる。
それは、恋人としても婚約者としても当たり前の事だし嬉しい事なのだが…。
きっとこの後、スタンガンの出処や先程の行動について問い詰められるのだろう。
ミリアリアはげんなりとした気持ちを抱え、転ばないよう必死にディアッカの歩調に着いて行った。
「入れよ。」
まだ時間も早いせいか、人の姿が全くない居住区域。
ディアッカはドアを開けると、半ば強引にミリアリアを押し込んだ。
そして後ろ手にドアを閉め、ガチャリと鍵をかける。
「…こんな広い部屋、一人で使ってたの?」
部屋数は少ないものの、一つ一つの部屋はとても広くて。
ミリアリアは今の状況も忘れ、きょろきょろと室内を見渡していた。
「ミリアリア。」
肩に手をかけられ、ミリアリアはぎくりと振り返る。
「ここなら邪魔も入らない。ゆっくり話、しようぜ?」
ディアッカの氷のような笑顔に、ミリアリアは少しだけ恐怖を覚えたーー。
「カガリ。」
クサナギの一室。
カガリはアスランの声にぎくりと身をこわばらせ、そっと後ずさった。
そういえば、まだカガリはザフトの軍服のままだ。
伊達眼鏡は外していたが、髪もほどいていない。
「あ、えーと、その、そうだ、まずは着替えて来よ…!」
カガリの言葉が途中で途切れた。
「…どうして、そんなに無鉄砲なんだ…」
耳元でそう囁くのは、アスラン。
いつの間にかカガリは、アスランに抱きすくめられていた。
「アス…ラン?」
「カガリ…。無事で良かった。」
カガリはそっとアスランの背中に腕を回した。
今なら言える。そんな気がして。
「迎えに来たんだ。アスラン。」
アスランの腕に力がこもった。
「…すまなかった。一番大変な時にそばにいられなくて。それどころか傷つけて、泣かせて。」
カガリはアスランの胸に顔を埋める。
「…ごめん。私こそ、指輪をもらっておきながら裏切るような真似をして。」
「カガリ。俺は…」
「そうだ!指輪。外しはしたけど、今もちゃんと持ってるぞ?ほら。」
カガリは首に下げたチェーンを引っ張り出す。
そこには、赤い石の指輪がぶら下がっていた。
「お守りだ。くじけそうな時、何度もこれに助けられた。」
にこりと微笑むカガリに、アスランも軍服の襟元から何かを引っ張り出した。
「…お前、これ…」
「俺も、何回もこれに助けられた。」
それは、かつてカガリが送ったハウメアの護り石。
「…カガリ。勝手な言い分だけど聞いてほしい。俺は、迷って、間違って…大切なものを見失ったままで居た。だけど、やっと分かったんだ。」
アスランは、カガリの琥珀色の瞳をじっと見つめる。
「俺はやっぱり、カガリと一緒に、生きていきたい。」
ぽかんとした表情で、カガリがアスランを見上げる。
そして、綺麗な肌の上をつぅっと涙の滴が流れた。
「アスラン…また、いっしょに、いてくれるのか?」
アスランは優しく笑った。
「一緒に、いてもいい?」
カガリは何度も頷く。
アスランの腕がカガリを引き寄せ。
二人は、数年ぶりに唇を重ねた。
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タイトルの言葉に、カガリの想いが詰まっています。
一方、静かに怒るディアッカ。ミリアリアはどうなってしまうのでしょう…
2014,7,16up