7,学園生活 1

 
 
 
 
「驚かれるのも、無理はありませんわね」
押し黙ってしまった皆を見渡し、ラクスは困ったように微笑んだ。
「いや、しかし…」
イザークが口を開く。
「終戦時に現存していたGシリーズはストライク、デュエル、バスターでしょう。デュエルは既にモルゲンレーテに返還し、大破したストライクとバスターはそのまま廃棄、それ以外も既に…」
ラクスは頷く。
「ええ、イージスとブリッツも含め、もうあのシリーズは現存しておりません【機体】としては」
「廃棄したはずの機体がどこかで修復されていたとでもいうの…?」
マリューが訝しげに口を挟む。
 
マリューはかつてAAの造艦にも関わった、優秀な技術士官だ。
また、再び宇宙に出るまではモルゲンレーテでエリカ・シモンズと共に様々な技術開発を行ってきている。
そんな立場から見ても、既に旧式の機体となったシリーズをわざわざ再開発する理由が分からない。
最も、技術士官でなくとも同じように思うだろう。
だからこそ、皆困惑している。
なぜ、こんなことをわざわざラクスが?
 
「あの、再開発、なんですか?」
意外にも、次に口を開いたのはミリアリアだった。
「再生産とか量産じゃなくて、再開発…?」
ラクスはにこりと微笑み、ミリアリアに向き直った。
「カトーゼミ。キラやミリアリアさんたちが、かつてヘリオポリスの工業カレッジで在籍していたゼミですわね」
カトーゼミ?なぜ今頃?
疑問に思うものの、ミリアリアは表情を変えず、「ええ」と頷いた。
それを見ていたディアッカの方が、なぜかびくりと体をこわばらせる。
それは…死んでしまったあいつもいた…。
表情を曇らせ俯くディアッカを、キラが心配そうに見つめる。
「今からお話しすることは、キラにもまだお伝えしていません。と言うよりも…お伝えせずに済めば、その方がいいと考えていました」
キラとミリアリアは思わず目を見合わせた。
 
「カトー教授は、ヘリオポリスにおけるG開発の首席責任者でした。だからこそ、一介の教授でありながらモルゲンレーテにあれだけの研究室を持ち、カレッジでもトップを争うであろう優秀な学生たちを厳選して、共に研究、開発をすることも許されていたのです。実際、キラもミリアリアさん達も、みなさんかなりの飛び級をしてカレッジに入学されたはずです」
 
ラクスが一呼吸間を起き、核心に触れる。
 
 
「カトー教授は、Gシリーズへの核搭載について、試作データを残していた可能性があるのです」
 
 
キラが目を見張る。
「ラクス、それって…フリーダムやジャスティスのような機体を、ってこと?」
ミリアリアは呆然としている。
「…ざっくり言えば、そうなりますわ。正確には、核を動力とする段階まで行っていない、と思いますけれど…。難しいですわね」
ラクスは困ったような笑顔をキラに向けた。
「キラ、当時カトー教授から与えられていた課題を覚えていらっしゃいますか?ミリアリアさんも」
二人は何事かを考え込んでいて、その問いには答えない。
沈黙が続く中、ラクスがさらに続ける。
 
「ゼミのメンバーは5名。キラ、ミリアリアさん、サイさん、カズイ・バスカークさん、トール・ケーニヒさん」
そして、イザークとディアッカに向き直り先を続ける。
「当時のGシリーズは5機体。デュエル、イージス、ブリッツ、バスター、ストライク」
「おい…まさか…」
ラクスはディアッカに視線を移し、頷いた。
 
 
「カトーゼミのメンバーは、それとは知らぬままGシリーズの設計、開発に関わらされていたということです」

 

 

 

 

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