2,ミリアリア・ハウ

 
 
 
 
気がつけばあいつの事を考えている。
 
周囲に【振った】と公言し、連絡も意地を張って取らなかった。
それでも、戦火の中カメラを片手に気づけば空を見上げて、無事を祈っていたあの頃。
会いたくて、抱きしめられたくて何度も泣いた。
 
2度目の大戦で、自分なりの信念の元AAに復帰した。
信念の元。
 
 
ほんとうに、それだけ?
 
 
宇宙に出れば、あいつに会えるかもしれない。
そんな打算が、本当になかったと言える?
ミリアリアは考える。
そして。
 
「打算、あったのよね…本音を言えば」
 
キラにもサイにも言われたこと。
【ミリィは素直にならなきゃね】
トールの前ではいつも素直に甘えられた。
今なら分かる、それは自分が何も知らない子供だったから。
淡い、初恋だった。
二度の戦争を最前線で経験した現実は、あの頃の何も知らない子供だった自分をこうして客観的に見れる程度にはミリアリアを変えていた。
 
 
 
いわゆる、吊り橋の恋なんじゃないの?
そう思ったこともあるけれど。
吊り橋の上で感じた気持ちが、橋を渡り切ったら全部気のせいなわけじゃないでしょ?
そう思ったのだ、自分は。
 
自分の想いに素直になろう。
はっきりしないのは、好きじゃない。
あいつの気持ちを踏みにじって酷い言葉や態度ばかりだった自分は、もう見限られているかもしれない。
ミリアリアとの事はあいつの中で過去になっているかもしれない。
 
でも、それでも。
勝手な事は充分承知。
前に進まなきゃ、何も変わらないから。
今の自分の想いを、少しでも伝えたい。
 
意地を張ってしまったけど、やっぱり好きだから。
ディアッカを守りたい。
もう一度隣に立ちたい。
そうあれるだけの自分でいたい。
だから、戦場カメラマンの道を選んだ。
MSに乗れない自分が戦うために、取った方法。
 
停戦協議が落ち着いたらなんとかして連絡をつけて、ディアッカともう一度話をしよう。
きちんと謝って、最後になっても構わないからわがままを言おう。
話を聞いて欲しい、と。
 
 
 
ぼんやりそんなことを考えていたミリアリアは、エターナルからの通信に気づくのが遅れた。
『先ほどからエターナルの援護をしてくれたザフトの機体に着艦許可を頂きたいのです』
ラクスのおっとりした口調。
ついさっきまで戦争をしていたのが嘘みたいね、と少しだけ笑みがこぼれる。
しかし、続く言葉を聞いてミリアリアの笑みは一瞬にして凍りついた。
 
 
『今からそちらに向かうのは、ジュール隊の隊長機と副隊長機。イザーク・ジュール様とディアッカ・エルスマン様ですわ』
 
 
ミリアリアの目の前が、ふっと暗くなった。
 
 
 
 
 
 

016

こちらはミリアリア視点。

ディアッカがAAに来ると知り、動揺するミリアリア。

 

 

戻る   次へ  text

2014.6,2up

2017.9,1 一部編集