パーティーは夜が更けてから

 

 

 

 
このお話は長編「手を繋いで」シリーズとは別の設定になります。
運命終了から数年後、地球在住、ジャーナリスト×軍人の新婚設定です。
 
 
 
 
 
 
 
「ただいま、ミリィ」
「あ、おかえりなさいディアッカ。ご飯ちょうど出来たところよ」
 
リビングから顔を出したミリアリアはシンプルなエプロン姿。
カメラを手に真剣な表情をしている彼女とは違う姿がそこにある。
自分しか知らない、大切な人の姿。
「なぁに?変な顔して」
「ん?別に?つーか変な顔っておまえな」
「だって変なんだもの」
「そういうこというとイタズラしちゃうぜ?」
からかうようにそう言うと、ミリアリアはしたり顔でディアッカを見上げた。
 
 
「あら、イタズラはできないわ。お菓子ならもう用意してあるもの」
 
 
目を丸くするディアッカに、ミリアリアはにっこりと微笑んだ。
 
 
 
***
 
 
 
夕食はいつも通りのものだったが、食後に出てきたのはパンプキンパイだった。
甘いものがそれほど得意ではないディアッカに合わせ、パイも生クリームも砂糖は最小限だ。
そんな些細な気遣いが、ディアッカをひどく幸せな気持ちにさせてくれる。
 
「うまい」
「ほんと?良かった、かぼちゃの甘さだけでも不安だったのよね」
 
嬉しそうに微笑むミリアリアに、ディアッカもまた微笑む。
出会った頃は泣いてばかりだったミリアリアの笑顔が見たいと焦がれたあの頃、こんな未来が待っているなんて誰が想像しただろう?
想いを伝え合って、ぶつかり合って離れて、再会して。
何度も壁にぶつかりながら、こうして結婚して、家族になって。
これからずっと、こうしてたくさんの記念日を共有していけたらいい。二人で、一緒に。
そんなことを思いながら、ディアッカは皿に残ったパンプキンパイの最後の一口にフォークを刺した。
 
 
 
***
 
 
 
食事の後片付けを手伝うつもりが、しきりに先に風呂へ、と勧められ、ディアッカは一足先に入浴を済ませると寝室へと向かった。
入れ替わりにバスルームへと消えたミリアリアからは、ほんのりと甘い香りがしていた。
パンプキンパイの名残かな、と思うと、また胸が温かくなってくる。
ご機嫌で身支度を済ませ、間接照明だけを灯したディアッカがベッドに落ち着いた頃、ミリアリアが寝室へとやってきた。
 
「お疲れ。遅かった…じゃ……」
 
笑顔で顔を上げたディアッカの言葉は、途中で途切れた。
 
 
「……っ、き、今日はハロウィンだからっ!たまにはこういうのも、その、いいかなって…」
 
 
ミリアリアが身につけていたのは、肩ひもと裾全体にレースがふんだんにあしらわれた、黒いベビードール風の衣装と揃いの膝丈のパンツだった。
パンツの裾にもレースがあしらわれており、柔らかなシフォンが白い肌によく映えていて、すらりと伸びた足にディアッカの視線は釘付けになる。
肌寒いせいか、それとも羞恥からか──ベビードールの上にパーカーを羽織っているのがいかにもミリアリアらしい。
 
「あ、明日も早いし、寝ないと…って、ちょっと!なんで笑ってるのよ!」
「いや…おまえってほんと、かわいいよなぁって思ってさ」
「何言って…ちょ、ひゃあっ!!」
 
軽々とミリアリアを抱き上げたディアッカは、その華奢な体をそのままベッドまで運び、優しく下ろす。
 
 
「こっからは大人のハロウィンパーティー、ってことでいいんだよな?」
「……夜更かしは、ダメなんだから」
「んー……約束はできないかも?」
「でも、明日もしごと…っん…」
 
 
 
可愛らしい唇を塞ぐと、言葉はそのまま甘い吐息へと変わる。
「いたずら、していい?」
長い長いキスの後、すっかり息を乱してミリアリアの蕩けかけた碧い瞳を見つめ、ディアッカは微笑みながら首を傾げる。
ミリアリアは腕を伸ばしてディアッカの頬に指を這わせるとそのまま顔を寄せ、返事の代わりに羽のようなキスを贈った。
 
 
 
 
 
 
 
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ハロウィン小噺@2016でございます!
年に一度の機会、今年はそれでも書けるか不安だったのですがやはり書きたくて…
ちょっぴり大人なハロウィン、いかがでしたでしょうか?
ベビードールをそのまま着てしまうのはミリィだったら躊躇うかな、と思ったので、
パンツとパーカーも着せてみましたが…きっとすぐ脱がされちゃうかな、旦那様に(笑)
そして今回、おまけも用意させて頂きました。
このお話の続編になります。はい、18禁です。苦手な方はご注意下さい!
おまけへはこちらからどうぞ♡
 
それでは今年のハロウィン、皆様が楽しく過ごせますように!
拙いお話ですが、お気に召して頂ければ幸いです。

 

 

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2016,10,31up