「やっぱり、こいつの事知ってるんだな、ミリアリア。」
カガリはおかしそうに、狼狽するミリアリアを見つめている。
「あ、信じてなかったの?」
オレンジの青年が恨めしげにカガリをつっつく。
その青年は、ミリアリアがコミュニティに潜入取材をした時によく話をした相手だった。
記憶をなくしているという青年は、ヘリオポリスで頭に銃弾を受け倒れていたところをたまたま潜伏していたダストコーディネーターに拾われ、瀕死の状態でコミュニティにやってきたらしい。
首にかけた認識票から名前の一部がかろうじて読み取れたがそれ自体も破損がひどく、彼の身元は記憶が戻らない限りどうしようもできなかったのだ、と彼は笑ってそう言った。
「ザフトに問い合わせてみたらいいじゃない。」
彼が持ち得た自分の情報は、ファーストネームとザフト出身なことだけ。
そして、ヘリオポリスにいたということは、もしかしてディアッカと繋がりがあるのかもしれない。
そう思ったミリアリアは、実際ディアッカやイザークの名前を青年に聞かせてみたこともあった。
しかし青年はきょとんとした顔で、知らない、と首を振った。
「俺は別に、このままでも構わないんだよね。」
「どうしてよ?あなたの家族や友達だって…」
そう言うと青年は、ミリアリアやイザークとも違う青い瞳を細め優しく笑った。
「ミリアリアは、やさしーんだな。」
そうして顔を真っ赤にするミリアリアに、青年は遠い目をしながらこう告げた。
「俺は、さ。きっとザフト軍にいたんだろうな。
ナチュラルを見下す事しか知らない、高慢なコーディネーターだったんだと思う。
でも、今は違うから。
ナチュラルもコーディネーターも変わんねぇって思ってる。
俺は今の生活が結構気に入ってるし、ここのやつらのことも結構好きだし。
だから、いいんだ。今のままで。」
ああ、ディアッカも似たような事を言っていたな。
ミリアリアは懐かしさと切なさを感じ、青年を見つめた。
「なに?俺に見とれたー?」
「あらいやだ、寝言?」
それに、何だかディアッカ本人にも似てる、かも。
今は遠く離れてしまった大切な人を想い、ミリアリアはくすりと笑った。
「あーそうだ、ミリアリア。」
青年の声が、ミリアリアを現実に引き戻した。
「なに?っていうか、なんであなたがカガリと一緒にいるの?」
「んー、話すと長くなるから要点だけね。姫様、いい?」
カガリは嫌そうな顔で、姫様はやめろと言った後頷いた。
「俺、記憶が戻ったんだ。多分、全部じゃないけど。」
ミリアリアはぽかんと口を開けてモニタを見つめた。
「ほんと?良かったじゃない!」
「あのテロの時、また頭を負傷してさ。そのショックで戻ってきたらしいよ。」
「そう…。」
そんなミリアリアを楽しげに見つめ、青年はとんでもない事を口走り始めた。
「んじゃ自己紹介。まず名前からね。俺の名前は、ラスティ・マッケンジー。」
「ラスティ…」
そう繰り返したミリアリアは、次に続く言葉に絶句することになる。
「そ。ザフト軍クルーゼ隊、ラスティ・マッケンジー。
よろしく、ミリアリア。」
次の瞬間。
「えええええぇー!?」
数刻前まで意識がなかったとは思えないミリアリアの絶叫が部屋に響き渡ったのだった…。
ラスティ、好きなんです…。だから出てきて頂きました。
2014,6,11up