22,あなたと私と 1

 

 

 

「カズイ…今、なんて言った?」
「え?だから、地球軍のなんかの研究所から、エクスなんとかって言ったかなぁ?特殊部隊を連れてきて、Gに乗せるって。
移送される時に、気絶したふりして聞いちゃったんだ。」
エクステンデッド。
アーモリーワンでザフトの基地から新鋭機体を奪取した強化人間。
記憶を操作されたフラガがネオ・ロアノーク大佐として率いていた部隊。

 
「…ほんとう?その話。」
突然聞こえた細く柔らかい声に、サイとカズイは仰天しベッドを振り返る。
ミリアリアが、いつの間に目を覚ましたのか横になったままこちらを見つめ、話を聞いていた。

 
「カズイ、ひさしぶりね。無事でよかった。」
我に返った二人は慌ててミリアリアのそばに駆け戻る。
「ミリィ、痛みは?」
「うん…、まぁ少しは痛いけど大丈夫。」
「はぁ…良かった…」
ミリアリアは大げさにため息をつくカズイを見てふわりと笑った。
「カズイ、そういうとこは変わらないのね。」

 
サイはベッドに座った。
「ミリィ、いつから起きてたの?」
「カズイがモルゲンレーテの下請け企業で働き始めたあたり。」
ミリアリアはカズイを見つめた。
「カズイも、戦う場所、見つけたんだね。」
「…うん。ミリィも、でしょ?」
「そうね、戦う場所も、大切なものも守りたいものも見つけた。」
「そっか。」

 
サイはそんな2人を眩しげに見ていた。
そして、改めて決心した。
「…帰ろう。ケリをつけて。」
ミリアリアとカズイがサイを振り返る。

 
「コーディネイターは悪じゃない。僕らはそれを知っている。
プラントを攻撃しても、悲しみしか生まれない。
僕らは弱い、ナチュラルだけど…。でも僕らにも出来ることがあるはずだ。
このテロを、止めよう。」

 
ミリアリアがゆっくり起き上がる。
「私、プラントを守りたい。だから出来ることは何でもやるわ。」

 
するとカズイが、「あ…、あのさ」と声を上げた。

 
「俺に、考えがあるんだけど…聞いてくれる?ふたりとも。」

 

 
「自爆装置を組み込んだ?」
サイが思わず声を上げた。
「どうやってそんなことを?」
ミリアリアも意気込んで尋ねる。
「あいつら、教授のデータを俺に解析させながらGシリーズを突貫で組み立てたんだ。
結局俺達が解析しないと分からないデータがあったわけだからさ。
そういうやり方しかできなかったんだろうね。」
確かにそうだろう。
核にせよ何にせよ、専門知識のある人間がいなければ開発など危なくてできるものではない。

 
「で、その解析をさせられてる時に、なんでこんな事するんだ、って話になるじゃない、やっぱさ。
したらあいつら、コーディネイター達がよく知っているこの機体を使ってプラントに核をぶち込む、とかべらべら喋ってくれたわけ。
それ聞いて、俺ほんとにイラっとしちゃってさ。
組み立て途中の設計図いじって、取り外されてた自爆装置を元に戻したんだ。」
カズイはそう言うと、へらっと笑った。

 
サイとミリアリアは、思わず無言でカズイを見つめた。
「カズイ、お前がんばったんだな…」
「俺だって、大事な友達の故郷が攻撃されるの嫌だよ!
それに、あいつらの言い方が許せなかったんだ。」
そう言うとカズイは、唇を噛み締めた。

 
「プラントに核をぶち込む、って…あいつら、まるで害虫駆除、みたいな気軽さで得意げに話しててさ。
コーディネイターだって、俺たちより優れた遺伝子は持ってるかもしれないけど同じ人間でしょ?!
どれだけとんでもない事しようとしてるのか、あいつらわかってないんだよ!」
「カズイ…」
ミリアリアがベッドから起き上がり、カズイに近づいた。
「ありがとう、カズイ。」
「ミリィ?」
きょとんとするカズイに、ミリアリアは言った。
「私の大切な人、コーディネイターなの。
びっくりするかもしれないけど、プラントの…ザフトの軍人よ。
私の大切な人を、カズイは守ってくれたことになる。
だから、ありがとう。」

 
そう言って、ミリアリアはにっこりと嬉しそうな笑顔をカズイに向けた。

 
「そっか、そうなんだ…。
じゃあ、絶対ここから無事に帰って、その人に会いに行かなきゃね。」
「そうだよ、お前だって友達に会いに行かなきゃだろ?」
カズイもまた、サイの言葉に頷く。
「うん。じゃあ、俺が考えた作戦を説明するよ。」

 

 

 

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