ホームパーティー 1

 

 

 

 

「じゃ、行ってくる。」
「うん。」
ディアッカは見送りに出て来たミリアリアに優しくキスを落とした。
 
「久しぶりの出勤だから、今日はちょっと遅くなるかも。」
すまなそうに自分を見上げるミリアリアに、ディアッカは微笑んで頷き、今度は額にひとつキスを落とす。
 
「張り切りすぎて無理すんなよ?」
「っ…!しっかり休養取ったし、もう平気よ!」
「はいはい。ミリィも気をつけて行けよ?」
「わかりました!もう、遅れちゃうわよ?」
 
頬を微かに赤らめたミリアリアともう一度キスを交わし、ディアッカはアパートを出てエアカーに乗り込んだ。
 
 
ミリアリアが体調を崩し、仕事を休んだのは先週の木曜日の事だった。
最も、理由は病気などではなくーーー領事館で起こった“ある出来事”に苛立ったミリアリアが暴走したせいなのだが。
 
エアカーを走らせながら、ディアッカはその“ある出来事”について、ぼんやりと考えを巡らせていた。
 
 
 
ディアッカがかつて自暴自棄になっていた時期に手を付けたシェリーと言う女性が領事館に偶然仕事で訪れ、接待をしたミリアリアと口論になった。
喧嘩を吹っかけたのは向こうからだったようだが、ミリアリアに散々自分との関係について、あること無い事言ったらしい。
ミリアリアがそれをディアッカに告げる事は無かったが、その日の彼女は明らかにいつもと様子が違っていた。
 
そして、ディアッカがそれを知っているのは、気を利かせたサイがこっそり電話をくれたおかげだった。
 
 
自分のかつての所業で、ミリアリアに嫌な思いをさせてしまった。
ディアッカは密かにその事を気にしていた。
シェリーとミリアリアは、入籍前にも一度やりあっている。
その後の入籍、そして大々的に報道された二人の結婚式を目にし、ディアッカが手を付けた女性達もいい加減現実が見えただろうと思っていたのだが、その考えは甘かったようだ。
 
 
いつまで経っても、それこそ結婚してもまだ自分に拘り、そしてミリィを見下すシェリー。
ディアッカが知らないだけで、本当は他にも似たような事があったのかもしれない。
優しいミリアリアは、そう言った話は絶対に自分にはして来ないからーーー。
 
 
ディアッカは溜息をつき、エアカーをパーキングスペースに駐車した。
自分がどれだけミリアリアの事を愛していて、そして彼女がどれだけ素晴らしい女性なのかを皆が理解すれば、こうした事も無くなるのだろうか。
 
「つっても…そんな都合のいい機会なんてなかなかねぇよなぁ…」
 
機嫌の良さそうな時、揉め事の話は抜きでシホにでも相談してみるかな。
 
ディアッカはエアカーを降りると、足早に隊長室に向かって歩き始めた。
 
 
 
 
任務でイザークとともに評議会議事堂を訪れていたディアッカは、見知った顔を見つけイザークの肩を小突いた。
「なぁ、あれアリーじゃねぇ?」
イザークはディアッカと同じ方向に目をやる。
「ああ、アルフォンスだな。」
「だろ?なぁ、まだ時間あるよな?」
イザークの返事を待たず、ディアッカは声をかけた。
 
「アリー!」
 
栗色の髪に、緑の瞳の青年は驚いたように顔を上げ。
イザークとディアッカの姿を認めると、人懐っこい笑顔を浮かべた。
 
 
「悪かったな、結婚式行けなくて。」
ディアッカの言葉に、アリーは笑顔で首を振った。
「気にするなって。ちょうど地球にいたんだろ?」
 
 
アルフォンス・ジュール。
イザークの従兄弟であり、ディアッカも幼少の頃から何かと付き合いのある人物だ。
ーーーそして、先日ミリアリアと騒動を起こした女性、シェリーの夫、でもあった。
 
シェリーとアリーは、ディアッカとミリアリアがオーブに新婚旅行に行っているまさにその時期、入籍をすませ結婚式を挙げた。
招待状は受け取っていたのだがやむを得ず欠席となってしまい、通信で祝福の言葉は伝えたものの、ディアッカはやはり気になっていたのだ。
ミリアリアの方は欠席となって内心ほっとしているようだったが、彼女の性格上、ディアッカにそんなことを言うはずも無かった。
 
 
「そういえば奥さん、元気にしてる?」
穏やかなアリーの言葉に、ディアッカは笑顔で頷いた。
「ああ。仕事は忙しいみたいだけど元気でやってるぜ?お前の方はどうなんだよ?」
「シェリー?今は国防委員の秘書をやってるよ。まぁあいつの親のコネだけどね。」
 
やはり、先日ミリアリアとやり合ったのはシェリーで間違いないようだ。
ディアッカはポーカーフェイスのまま会話を続けた。
 
「へー。お互い仕事してんだ。」
「シェリーはお嬢様育ちだからな。でも一度くらい働いてみたいって言い出して、それで始めたんだ。」
「ふーん…」
「ディアッカ、そろそろ時間だぞ。アリーも、話なら今度また場を改めて…」
 
 
時間厳守がモットーな、イザークの声。
その言葉に、ディアッカの紫の瞳がきらりと光った。
 
 
 
 
 
 
 

007

「180+」サイトマスターのえみふじ様との合作第2弾となります!
冒頭から甘々な二人ですが、実はディアッカ、ちょっぴり悩んでいます。
「空に誓って」で登場させたオリキャラ、シェリーとアリーが再び登場!
さて、何か思いついたらしいディアッカですが…?

 

 

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2014,9,29up