ミリアリアは、洗いたてのブランケットに包まりながら、ディアッカの腕に自分の腕を絡めてそっと溜息をついた。
食事の支度を終えて、荷物の準備を、と思って大きなスーツケースを引っ張り出したのはいいものの、寝不足の体にはそれだけでもかなりの重労働だった。
出掛ける前に片付けてしまおうと急いで洗って乾燥機にかけていた、昨夜のブランケットを寝室に運び込む。
でも考えるのはディアッカの事ばかりで。
気づけばミリアリアは、スーツケースにもたれて眠り込んでいた。
そして、いつの間にか帰宅していたディアッカのキスで目覚め、そして抱かれ今に至るのだが…。
これって、仲直り、出来た、よね?
いつもと微妙に違ったディアッカの行為に、ミリアリアは戸惑っていた。
「あの…」
「なんだよ?」
「今日、ディアッカ、いつもと違った、よね。…どうして?」
ディアッカはふいと横を向いた。
よく見ると、微かに耳が赤い。
「…お前見たら、安心して…」
「安心?」
「どっか焦ってたんだ。また一緒にいられなくなったら、って。
でも、寝てるお前見て、これからはずっと一緒なんだって再確認出来たっつーか…ああもう、これ以上言わせんな!」
ディアッカは、ミリアリアの頭をぐいっと自分の方に引き寄せる。
「…これで、仲直り、な。」
まるでミリアリアの心の中を覗いたかのような、ディアッカの言葉。
ミリアリアは弾かれたように顔を上げ、ディアッカを見た。
そこには、少し照れたようなディアッカの笑顔。
ミリアリアも、やっといつもの笑顔になる。
「…うん。」
そのまま、ディアッカの顔が近づき。
ミリアリアは目を閉じて、その柔らかく熱い唇を受け止めた。
「昨日、これ作ってたの?ラクスんとこで」
二人でシャワーを浴びてすっかり着替えも終わった頃。
ディアッカが、サイドテーブルに置かれたトリュフをひとつ口に入れた。
「うん、そう…って、いつの間に開けたの!?それにディアッカ、私が寝てる間にそれ食べたでしょ!?」
ミリアリアは先ほどのキスの味を思い出し、赤くなりながらもディアッカに詰め寄った。
「だって、俺のだろ、これ?そう書いてあったし。」
「…そう、だけど!初めてチョコあげるんだし、直接渡したかったのに…」
そう言って唇を尖らせるミリアリアは、とてもかわいくて。
ディアッカは新しいトリュフをひとつ口に咥えると、つかつかとミリアリアに歩み寄る。
そして、顎を掴んで顔を上向かせると、咥えたトリュフを強引にミリアリアの口内にキスと共に押し入れた。
「んっ?!んぅ!」
ミリアリアの目が驚きに見開かれる。
ディアッカはミリアリアから唇を離し、自分の唇についたココアパウダーを舌で舐めとる。
そして、驚きのあまり両手を口にあてているミリアリアに、にっこりと笑いかけた。
「すっげえうまいな、コレ。サンキュ、ミリィ。」
「…ん。」
事態を理解し、恥ずかしさで真っ赤になったミリアリアの口の中に、先ほどのキスと同じビターチョコの味が広がった。
用意しておいた食事に、ディアッカはとても喜び。
サイとイザークの慧眼に、密かにミリアリアは感謝した。
気落ちして何も口にしていなかったミリアリアも久しぶりの食事を大いに楽しみ、その後はミリアリアのドレス選びを中心に、フェブラリウス行きの荷物を二人で準備した。
「明日、お前どうすんの?」
ベッドで体を寄せ合いながら、ディアッカが不意にミリアリアに尋ねた。
「慰霊式典に出席して、それでもう帰っていいって言われてるわ。
ディアッカとお父様はそうもいかないでしょ?」
「まぁな。」
「でも、大切な式典なんだし、私はここで待ってるからしっかりお仕事してきて?」
「…ああ、分かった。ちゃんと家にいろよ?」
「もちろんよ。ディアッカが帰ってくるの、待ってる。」
待ってる。
たったそれだけの言葉が、こんなにも温かくて、嬉しくて。
ディアッカはミリアリアを抱き寄せ、温かく柔らかい唇にそっとキスを落とした。
「おやすみ、ミリィ。」
ミリアリアは、ふわりと微笑んだ。
「おやすみなさい、ディアッカ。」
見つめあって、微笑みあった二人はしっかりと体を寄せ合い。
ほどなく、夢の世界に旅立って行った。
仲直りできた後って、いつにも増して安心できますよね。
嬉しそうな二人の姿に、こっちまで幸せな気持ちになります。
2014,6,26up