Kiss me before I rise -起きる前にキスを-

 

 

 

ディアッカが目を開けると、ふわりとした茶色い髪が見えた。
白いシーツに散らばる、柔らかい髪に思わず手を伸ばす。
指先にそっと絡めると、癖の強い髪はぴょこん、とディアッカの手から逃げ出した。
それが楽しくて、何度も繰り返す。

 
「ん…」

 
寝返りを打ったミリアリアの顔が、今度は目の前に現れる。
裸の肩がブランケットからはみ出し、寒かったのだろうか。
心もちディアッカに擦り寄り、すぅすぅと静かな寝息を立てて眠るミリアリア。
少しだけ冷えてしまったその華奢な肩にブランケットをかけ直し、ディアッカはミリアリアを抱き寄せる。

 
『ディアッカのキスで毎日目が覚めるのが、とっても嬉しいの。』

 
そんなかわいい事を言う愛しい妻を、この命がある限り守り続けようとディアッカは想う。
そっと顔を上向かせ、唇を重ねる。
無意識に薄く開いた唇に舌を侵入させ、だんだんと深いキスに変えていく。

 
「ふぁ…う、ん…」

 
甘い声とともに、ゆっくりとミリアリアの目が開き、ディアッカの大好きな碧い瞳が現れる。

 
「おはよ、ミリィ。」
「…おはよう、ディアッカ。」

 
細い腕が、するりと首に回される。

 
「やっぱり、ディアッカのキス、きもちいい」

 
恥ずかしそうにそう囁くミリアリアに優しく微笑みかけると、ディアッカは再びその唇を塞いだ。

 

 

 007

新婚設定の二人。

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