唯一無二

 

 

 

このお話はR18要素を含んでいます。

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

閲覧は自己責任でお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして、ミセス・エルスマン?」
もうこのセリフ、何度目かしら。
そんな思いを心の奥に封じ込め、ミリアリアは笑顔を作って振り返った。
 
「はじめまして。ミリアリア・エルスマンです。本日は夫共々お招きありがとうございます」
「夫婦同伴のパーティーですもの。当然ですわ。お楽しみ頂けるか不安だったのですけれど、いかがかしら?」
 
夫婦同伴でなければお前などお呼びでない。
ありありとそう顔に書いてある目の前の女性に、内心ミリアリアは溜息をついた。
ザフトの上層部の誰だか知らないお偉方の就任何周年だかのパーティ。
聞けば昨年大層若くて美しい妻を迎えた、と聞き、ピンと来てはいたのだ。
そして当日を迎え、ミリアリアの前に現れた女性は、それはもう美の女神と言わんばかりの美しさで。
金色の巻き毛(確かだいぶ昔に出会った夫の元カノも金髪巻き毛だった気がする)に青空のような瞳、細すぎず豊満すぎないプロポーション。
着ているドレスもたおやかな仕草も、すべて計算し尽くされている。
自分をどう飾れば一番美しく見えるかをよくわかっている女性なのだろう。
 
「お気遣いありがとうございます。雲の上の方ばかりで少し緊張していますけれど、楽しませて頂いています」
「…そう。それは良かったわ。ディアッカも楽しそうね」
 
夫のファーストネームをさらりと言葉に乗せ、女は妖艶に笑った。
ディアッカの周りには美しい女性たちが何人も群がり、ちょっとした人垣が出来ていた。
アカデミー時代の“旧友”たちらしい。
「ねぇ、あの中に何人彼のお手つきがいるかご存知?」
ミリアリアはわずかに眉を顰めた。
「さあ?考えたこともありませんし…。あなたはご存知なんですか?」
予想外だったのだろう。女はあからさまに不快感を露わにした。
「正確なところは自信がないわね…。でも彼、魅力的でしょう?昼も夜も」
そう来たか──。
くすりと笑みを零し、ミリアリアは口を開いた。
 
「あなたが言う程、夫は魅力的じゃないわ。すぐ調子に乗るし、独占欲の塊だし。だからたまに叱ってやるんです。大きな犬みたいなものですね。…あなたとお付き合いされてる時は違ったのかしら?」
 
自分しか知らないであろう夫の困った所を並べ上げると、一瞬呆気に取られていた女の顔が悔しげに歪んだ。
 
 
***
 
 
真夜中の寝室には、色づいたあえかな声が響いていた。
「あーあ、こんなに赤くして。今日はいつもより敏感?」
「ちが…あっ、ああ」
「じゃあなんでこんな熱くなってんの?ココ」
布越しにゆるゆると刺激され、はしたなく夫の腿に跨ったミリアリアの中心がじわり、と疼いた。
ドレスは腰まで下ろされ、ふるりと揺れた形の良い胸を大きな手で鷲掴みにされる。
「いや、ああんっ」
くりくりと胸の蕾を弄られながらもう片方を唇で吸われると、電流のような快感が身体を駆け抜けた。
「ミリィからこんな風に甘えてくるなんて珍しいよな」
嬉しそうに眼を細めるディアッカを見下ろしながら、ミリアリアはそっと唇を重ねた。
そのまま舌を潜り込ませ、思う存分互いを味わう。
下着の隙間から入り込んできた長い指に気づき、火照った身体がびくんと跳ねた。
だが、いつの間にか空いている腕で頭を固定され、抗議の声を上げることもできない。
びしょびしょに濡れたそこは容易くディアッカの指を受け入れ、蹂躙を許した。
「ん!んう…んん…っ!」
急激に高みへと押し上げられそうになり、ミリアリアは塞がれた唇の間から抗議の声を上げた。
「あ、ぁ、だ、め、ディア、カ…ゆび、抜いて…」
「どうしたのコレ?めちゃくちゃ濡れてる」
見せつけるようにひらりとかざされた指は、いやらしく光っていた。
ミリアリアはぼんやりそれを見つめ──ディアッカの手首を掴むと、そっと口に含んだ。
 
「っ、ミリ…!」
「ん…」
 
子猫がミルクを飲むようにちゅくちゅくと濡れた指を舐めながらミリアリアは手を伸ばし、ディアッカが履いているスラックスの股間に手をかけた。
そのまま一気にファスナーを下ろすと、下着越しにも分かるくらい硬くなった分身が現れる。
怒張したそれを下着から取り出すとミリアリアはふわりと微笑み──驚きに固まるディアッカにキスをしたあと床に膝をつき、それをゆっくりと口に含んだ。
頭上で息を飲む気配を感じ、それが嬉しくて舌を絡める。
「…指じゃなくてこっちが欲しかった?」
「ん…っ」
一気に膨れ上がった分身を喉の奥近くまで軽く突き入れられ、生理的な涙が浮かんだ。
それでも懸命に舌を使って愛撫し、吸い上げる。
するりと頬を撫でられ、そのささやかな刺激にすら下腹部が疼いた。
「一回…出していい?」
荒い呼吸と掠れた声に酔いそうになりながら、ミリアリアはこくりと頷いた。
 
 
 
「や、あああ…っ!」
ゆっくりと入り込んでくる圧倒的な質量に、つま先から脳天まで痺れるような甘い何かが走り抜ける。
「さっきより濡れてる…俺の、そんなに美味しかった?」
どこか嬉しそうなディアッカの声に、ミリアリアはシーツをぎゅっと握りしめた。
「…さっき、たくさん…女のひと、いたわよね」
「さっき?」
目を丸くするディアッカを、ミリアリアは蕩けかけた瞳で睨み上げた。
「は、あ…っ、あの中の、何人と…付き合ってた…あ、あ!」
深い場所を擦られ、ミリアリアの言葉は途中で途切れた。
「それで…こんなに積極的なんだ、今日」
「んあ、あ、ちが…」
「違わないだろ?」
「ああ、あ、あ!や、激し…だめぇっ!」
細い手首を押さえ込んで腰を打ちつけながら、ディアッカはゆっくりと微笑んだ。
「誰かになんか言われた?」
「別、にっ…ん、あっああっ!」
「素直じゃないなぁ、うちの奥さんは」
ぐい、と腕を引かれて筋肉質な腿の上に乗せられる。
繋がりが深まり、ミリアリアの口から甘い吐息がいくつも零れた。
「やきもち焼いてくれたんだ」
「…すこし、もやもやした、だけ…」
「意地っ張り」
「やっ!ちょ、ん」
向かい合った状態で激しく下から突かれ、同時に唇を塞がれる。
いつだってこうして逆らう隙も与えられないまま、揺さぶられ、啼かされる。でも不思議と嫌じゃなくて、どうしようもなく気持ちが良くて。
思考がぐずぐずに溶けていく。
 
あの場では平然としていたが、内心面白くなかったのは事実だった。ディアッカのおまけ扱いにされることも、コーディネイターの女性より見劣りする自分を値踏みするようないくつもの視線も煩わしかった。
ディアッカが選んだのは、私なのに。
時間が経つにつれてだんだん怒りが湧いてきて、そんな傲慢な感情まで芽生えてしまって。
だからつい、いつもよりも積極的になってしまった。
いつも受け身になりがちなミリアリアの、精一杯の主張として。
目を閉じてされるがままになっていたミリアリアは、柔らかな唇が離れていくのに気付き、思わずそれを追いかけた。
ちゅ、と啄ばむようなキスを贈ると、アメジストの瞳が柔らかく細められる。
それはミリアリアの大好きな表情だ。
 
「…過去は変えられないから、言い訳なんてしないし出来ないけどさ。お前に対する感情は唯一無二なんだ。後にも先にももうこんな風に人を好きになることなんかない」
 
ゆっくりと染み渡る、愛の言葉。
ミリアリアはディアッカの首に腕を絡ませ、もう一度羽のようなキスを贈り、囁いた。
「私も、おんなじよ。…ごめん、ね。嫉妬して」
「それは、俺のことが宇宙で一番好き、と同義だって解釈していいんだよな?」
悪戯っぽい笑顔は、どこか初めて出会った頃の少年のようで。
何か気の利いた言葉でも返してやろうか、と一瞬思ったが、やめた。
それよりも今は、この温もりと互いに与え合う愛を大切にしたい。
 
「…そうよ。宇宙でいちばん、愛してる。誰にも負けないんだから」
「…最高」
 
そういうが早く激しい律動を再開させたディアッカにミリアリアは体を密着させ、与えられる愛と同じくらい甘い声を上げた。
 
 
 
 
 
 
 

 

すみません…年齢制限ものです。
Twitterで「書く予定のない小説の一部を書く」ってタグがありまして、その時に序盤の非エロ部分を書いたのですが、そのままエロに突入してしまいました(笑)
嫉妬ネタ大好きなのですが、ミリィはあんまり嫉妬しなさそうですよね;;
でも菫の脳内では“たまにヤキモチ焼いちゃう”設定になっておりますので悪しからず…!

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2018,2,6拍手up
2019,10,13up