両手でも抱えきれないほどの愛を

 

 

 

 
「今年は…何ていうか、バタバタだったわよね」
 
大晦日の夜。支度を済ませてベッドに入ると、ミリアリアが大きくなり始めた腹部を庇うように寝返りを打ち、微笑んだ。
そういえば、あとひと月もすれば仰向けで眠るのが難しくなるかも、とか言ってたっけ。
ディアッカはミリアリアと向かい合わせになり、そっと腹部に手を添えた。
 
「まぁなぁ…激動の一年、てやつ?」
「そうね。カーペンタリアへの出張やラスティのお父様のこと、ダストコーディネイターのこと…」
「妊娠も、な」
 
数年間の間小さな棘のように引っかかり続けてきた“あの方”に関する一連の事件の終焉。
ようやくプラント市民に公表された、ダストコーディネイターに関するミリアリアの記事。
そして、緻密なコーディネイトの結果、著しく生殖能力が低いとされていたディアッカとミリアリアの間に芽生えた、ちいさな命。
 
たくさんのことが起きて、めちゃくちゃに振り回されて。それでもこうして一緒に年の瀬を迎えられたことが、ディアッカは何よりも幸せに感じる。
と、不意にミリアリアが胸に顔を埋め、小さな声で囁いた。
 
 
「ディアッカ。大好き」
 
 
突然の告白にディアッカは息を詰め、瞳を細めて微笑んだ。
来年の今頃は、二人の間にすやすやと眠る我が子がいるのだろうか。
だとしたら、自分はきっと今以上に幸せな気持ちでいるに違いない。
両手でも抱えきれないほどの愛を、抱えて。
 
 
「…俺も。ミリィ。宇宙でいちばん、愛してる」
 
 
恥ずかしがり屋な妻の告白を受け止め、いつかと同じ言葉を使って愛を囁くと、ばか、とくぐもった返事が返ってきて。
ディアッカはくすくすと笑いながら柔らかな茶色い髪に顔を埋め、そっと目を閉じた。
 
 
 
 
 
 
 

 

 

短くてごめんなさい;;2017年書き納めはこちらになります!
2017年クリスマス小噺「まだ見ぬあなたからの贈り物」の続編です。
来年の大晦日だと、リアンくんは生後9ヶ月ほどでしょうか。親バカなディアッカが目に浮かびます(笑)
来年の大晦日は、そんなリアンくんも登場するお話を書きたいなぁ♡

今年はなかなかサイトの更新もままなりませんでしたが、いつも足をお運び下さる皆様には本当に感謝で
いっぱいです。
いつも本当にありがとうございます!
どうぞ来年も、当サイトをよろしくお願い申し上げます。

 

 

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2017,12,31up