monopolize

 

 

 

 
 

 

 

このお話はR18要素を含んでいます。

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

閲覧は自己責任でお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 
「なぁハウ。俺たちいいパートナーになれると思わないか?」
「……はい?」
砂埃にまみれ、瓦礫に身を潜めた状態でそんなことを言われても、頭が全くついていかない。
この人、この状況で一体何言ってるのかしら?
ミリアリアは手にしたカメラをしっかりと持ち直し、隣にしゃがみ込む男に怪訝な視線を向けた。
 
 
 
二度目の大戦から半年。
オーブ軍属から離脱し、再びカメラマンとして活動すると宣言したミリアリアを、周囲はこぞって説得した。
どうしてまた危険な真似をするのか。
二度目の大戦で見たものをオーブから発信すればいいではないか。
あいつは知っているのか。なんと言っているのか。
それでもミリアリアは皆の説得を振り切り、紛争地域へと旅立った。
……最後の一言については言葉を濁したまま。
 
 
カーペンタリアからほど近い地域に到着するとすぐ、駐屯するザフト軍が紛争を止めるべく軍事介入をする、との噂が入ってきた。
ナチュラル同士の争いにザフトが介入するなど少し前まではありえなかった事だが、もう戦争は終わったのだ。
お手上げ状態の現地政府は、ザフトに支援を依頼した。
軍事介入、と言っても、MSが出てくるわけではない。
主に白兵戦を中心として、暴動を起こしている一部の暴徒たちを鎮圧するのが狙いだった。
争いの種は、この地にプラントの企業が参入する事だった。
雇用も増え、町も潤うと歓喜する住民たちと、コーディネイターの参入に嫌悪感を示す住民たちのぶつかり合い。
裏でブルーコスモスの残党が糸を引いているのでは、とターミナル内でも囁かれていたが、あながち間違いでもなさそうだ。
 

どうして、同じ人間なのに受け入れることを拒むのだろう。
遺伝子を操作されているかそうでないかの違いがあるだけで、コーディネイターもナチュラルも同じように喜怒哀楽の感情を持つ、人間同士なのに。
足りない部分を補い合って、そうして共存していけばいい、というのは甘い考えなのだろうか。
 
 
あいつは、この惨状を見てなんて言うかしら。
 
 
半年前に再会し、一応の仲直りはしたものの、それ以来顔もまともに見ていない男のことを思い出し、ミリアリアは小さく溜息をついた。
最後に見たのは三ヶ月前。通信越しだった。
以前のように頭ごなしにカメラマンの仕事について反対はされなかったが、それでも言葉を選びミリアリアの身を案じていたことには変わりなくて。
あえて何も言わずこの地にやってきてしまったことに、ミリアリアの胸が痛んだ。
と、激しい銃声は鳴り響き、慌てて瓦礫の影に小さくなる。
「大丈夫か?」
肩を抱かれ、その行為にますます眉を顰めてしまう。
距離感が、おかしい。
この男と自分は、何度か戦場を共に駆け抜けたジャーナリスト仲間。
ミリアリアにとってはその程度の認識だ。
確かに何度も視線に近い状況をくぐり抜けた仲間でもある。
だが、あいつとこの男は決定的に、違うのだ。
 

「大丈夫です」
 

素気無い言葉で男の手を振り払い、カメラを構える。
「ハウ。さっきの話だけど」
「すぐそこで銃撃戦が繰り広げられてるんです。そんな話は後にしてください。そもそも私…」
「何度もこうして戦地を駆け抜けているうちに、いつの間にかお前が忘れられなくなってたんだ。ここでまた出会ったのもきっと運命なんじゃないか?」
「…運命?」
断言できる。運命の出会い、なんていうものはこんな生ぬるいものじゃない、と。
「ここを無事に脱出できたら、答えを聞かせてくれないか」
なおも食い下がる男に、ミリアリアは初めて嫌悪感を覚え、声を荒げた。
「答えなら今すぐ…」
「俺が代わりに返事してやろーか?」
全く気配を感じさせないまま近づいてきていた男の声に、ミリアリアの肩が跳ねた。
カメラを手にしたまま、そろそろと振り返る。
そこにいたのは、防弾チョッキを身に纏って大きな銃を手にした、金髪に紫の瞳を持つ長身の、男。
「なっ…ザフト軍?!」
男の顔色が変わったが、それとは違う意味でミリアリアの顔色もまた変わった。
 
 
 
***
 
 
 
軍用ジープに揺られ、ミリアリアはぼんやりと流れていく景色を見ていた。
カーペンタリアの街までは、あと一時間もかからない。
結局あのあと銃撃戦は延々と続いたが、ミリアリアは突然現れた、ここにいるはずのない男ーーディアッカ・エルスマンによって早々にその場から離脱させられ、宿泊先のホテルまで送り届けられることとなった。
行動を共にしていた男は突然現れたコーディネイターに怯えた眼差しを向けていたが、いつからか背後で二人のやり取りを聞いていたであろうディアッカは、冷たい目で男を見下ろした。
 
「で、どーする、ミリィ?こいつ」
「……安全な所までは一緒に連れて行ってもらえると…嬉しい」
「ハ、ハウ?!知り合いなのか?!」
「人のオンナに気安く声かけてんじゃねーよ」
 
絶対零度の声に、男はひっ、と竦み上がり、ミリアリアは内心頭を抱えた。
それでもディアッカはミリアリアの言葉通り、二人を安全な場所まで誘導してくれた。
 
「ほらミリィ、行くぞ。写真も撮ったんだろ?」
「え?あ、う、うん。」
「ハウ!あの、さっきの…」
 
まだ言うか。地雷を踏むか。
背後からひしひしと伝わる殺気が現実のものとなる前に、ミリアリアはきっぱりと男に宣言した。
 
 
「確かに、何度もお世話になったことには感謝しています。でも私、ちゃんと好きな人くらいいますから。あなたの考えているようなパートナーになるつもりはありません」
 
 
そうして呆気にとられる男に背を向け、ミリアリアはディアッカの待つジープへと向かったのだった。
 
 
 
***
 
 
 
「なんで連絡しねーんだよ」
不機嫌丸出しな声に、ミリアリアは小さく溜息をついた。
 
「…ごめんなさい。心配かけたくなかったの」
「おまけにあんなおっさんに言い寄られて。何、あいつ」
「何度か一緒に仕事をしたジャーナリストよ。偶然会って、撮影に向かった先で銃撃戦が始まっちゃって…きゃ!」
 
急ブレーキをかけ、突然ジープを路肩に寄せたディアッカに驚き、ミリアリアは運転席を振り返ろうとして──そのまま唇を塞がれた。
「ん、う…ちょ、あ…」
反射的に逃げようとするも、頭を抑えられそれは叶わない。
埃まみれのシャツの裾から大きな手が入り込み、驚いたミリアリアは目を見開いた。
 
「な、に…っ、して…」
「また…いなくなっちまうのかと思った」
「…っ、どうして、地球、に…あっ」
「姫さんに聞いて、イザーク説得してカーペンタリアに期限付きで出向させてもらった」
 
あっという間にシャツをはだけられ、白い胸に唇が落とされる。
ちり、と感じる痛みに、痕をつけられているのだと分かった。
「や…こんな、とこで」
「黙って行っちまったお仕置き」
「そんな…あ、んっ!」
舌と指で胸の頂を責められ、びくびくと体が震えてしまう。
いつの間にかジーンズのボタンも外され、下着越しに敏感な場所をなぞられ、堪えていた甘い声が漏れた。
 
「こと、わった…じゃない!黙って、たのは…悪かったと思う、けどっ…」
「当たり前だっつーの」
「だったらなんでこんな…んあっ!」
 
薄い布越しに芽を刺激され、ミリアリアの言葉は途中で途切れた。
 
 
「なぁ、好きな人、って、誰?」
 
 
ミリアリアの善いところを絶妙なタッチで弄りながら、ディアッカはそう言って首を傾げる。
「そんなの…あ、あん、聞かなくても、わかる、でしょ?!」
「ミリィの口から聞きたい」
「ひ、あっ!やあっ!!」
隙間から差し込まれた指がミリアリアの中に入り込み、腰に甘い痺れが走った。
この状況にも場所にも似つかわしくないいやらしい水音に、ミリアリアの目に涙が浮かんだ。
 
「教えて?ミリィ」
「ひ、うんっ、あ…ぃ、あ、っか」
「ん?」
「ああっ!ディ、アッカ…ディアッカが…すき…」
 

こうやっていつも陥落させられてしまうのは悔しいけれど、もう限界だった。
ずっと会いたくて、やっと会えて、想いを通わせることが出来たミリアリアの愛しい人。
意地悪だけど、誰よりもミリアリアのことを案じ、大切にしてくれて、無理を押してまでこうして会いに来てくれた大好きな男。
がくん、という衝撃に、ミリアリアはシートが倒されたことに気づく。
かちゃかちゃ、という音が何を意味するのかも、あの頃より少しだけ大人になった今なら分かる。
カメラマンとして危険な場所に赴くことに理解を示してくれたディアッカもきっと、あの時よりも大人になったのだろう。
「がっつきすぎ、よ…ばか」
「そんな蕩けた顔して言われても説得力ねぇの」
下半身の衣服を取り去られ、大きな体がミリアリアに覆いかぶさる。
 
 
「お前の笑顔も、お前の涙も…全部、俺のモノだ。誰にも、やらねえ」
 
 
耳元で囁かれ、ミリアリアの胸が甘く疼く。
何か返事をしたかったけれど、そのまま押し入ってきた熱い塊にそんな考えも吹き飛んで。
ミリアリアは素直に悦びの声を上げながら、ディアッカの背中に腕を回し、ぎゅっとしがみついた。
 
 
 
 
 
 
 
007

 

 

ぷらいべったーからの再録。
運命後復縁設定、遠距離恋愛中のディアミリです。
ディアッカはザフトで、ミリアリアは地球で相変わらずジャーナリストをしている設定。
最初は健全なお話だったのですが、某エルスマン副官の嫉妬心が暴走してしまい、
いつの間にかR18に早変わりしてしまいました…苦手な方は申し訳ありません;;
私としてはさっさと結婚しちゃいなYO!と思う二人ですが、こういうお互いを
認め合うような関係も憧れます♡

 

 

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2016,9,11拍手up

2016,10,17up