事後承諾

 

 

 

 
膝の上で掠れた嬌声を上げるミリアリアの体を支えながら、ディアッカは獰猛と言っていい勢いで腰を突き上げた。
 散々焦らしてやったせいかきつく自身を締め付けられ、急激に射精感が湧き上がる。
「くっ…そ、ミリィ、締めすぎ…」
「ん、あ、そんな、のっ、知らな…や、あ……っ!」
 背中を仰け反らせ、ミリアリアが達する。
 先程よりも締め付けがきつくなり、ディアッカもまた熱い息を吐きながらミリアリアの奥に欲望を注ぎ込んだ。
 
 
 
 アンダーシャツと下着姿で床に落ちていた幾つかの衣服を拾い上げ、ディアッカはベッドに沈み込む茶色の跳ね毛を振り返った。
「ふーん…ホントに三尉なんだ」
「…バカにしないでよね」
「だってお前、最後に会った時民間人だったじゃん。確認だよ確認」
 軍服のジャケットが皺にならないよう慎重に畳んで椅子に掛けながらへらりと笑うディアッカを恨めしげに見上げながら、ミリアリアは気まずそうな表情を浮かべた。
「何のための確認よ?私たち、もう…」
「ミリィはさ、好きじゃないオトコと寝るの?」
「なっ……ふざけないで!人の事、何だと」
 落とされた言葉に憤慨して勢いよく起き上がったミリアリアだったが、自分の格好に気づき、慌ててブランケットに潜り込む。
 そんなところは昔のままで、ディアッカはくすりと笑った。
「だよなー?ミリィはそんなやつじゃない」
「当たり前でしょう!」
「て事はさ、まだ俺は愛されてる、って思っていいんだよな?」
「……は?」
 眉を顰めたミリアリアが今度はゆっくりと起き上がる。
 その手は裸身を隠すべく、慎重にブランケットを掴んでいた。
「だーかーら。俺の事好きじゃないなら俺に抱かれないだろ?つまりミリィは今も変わらず俺の事…」
「ば、バカじゃないのあんたっ!あれだけ強引に…」
「本気で嫌なら抵抗しただろ?それこそどんな手を使っても」
 椅子に掛けた軍服の内側にあった護身用の小さな銃を取り出し、くるくると指で回すとミリアリアは唇を噛み締め俯いた。
 
 ミリアリアは決して弱い女ではない。
 優しいし、情にも厚いけれど、情に流されることはしない。その線引きができる女だ。
 そうディアッカは確信していたが、それはやはり正しかった、と確信する。
 
「そういうわけでさ。仲直り、しよ?ミリィ」
「……何よ、事後承諾じゃない、こんなの」
「だって待てなかったんだもん。ちょっと見ない間にやたら綺麗になってるし、なんか俺は振られたことになってるし?」
「振ったでしょ!」
「俺は認めてない」
「っ……」
 
 紫の視線に縛り付けられ、碧い瞳が揺れる。
 ミリアリアの軍服に銃を戻し、ディアッカはベッドに戻ると華奢な体をブランケットごと自分の腕に閉じ込めた。
「ちょっと!なにすんのよっ!」
「顔が見えなきゃちょっとは素直になれるだろ?」
 びく、と体を震わせたミリアリアのつむじに唇を落とし、ディアッカは先程と同じ言葉をもう一度囁いた。
 
 
「仲直り、しよ?」
「…………ずるい。ばか」
 
 
 どこまでも素直に陥落してはくれないくせに、もぞもぞと伸ばされた細い腕はしっかりとディアッカの背中に回されていて。
「ミリィ、俺のこと好き?」
「…………聞かなくてもわかるでしょ」
 顔が見えなくても恥ずかしいのだろう。かあぁ、と一気に熱を帯びた体をゆっくりとベッドに倒すと、そのまま唇を重ねる。
「すき」
 啄ばむような優しいキスの合間に零れた言葉にディアッカは一瞬目を見開きーー羞恥で赤く染まった耳元で「俺も」と囁いた後、再びその可愛らしい唇を塞いだ。
 
 
 
 
 
 
 
007

 

 

えーとえーと。
こちらも再会シリーズです。
再会すっ飛ばして微エロ気味ですが(微じゃない?笑)ご容赦ください;;
いつもの作品とはちょっと毛色の違う二人ですが、結局ラブラブなのは変わりません(●´艸`)
サイト本編とはまた別設定の再会シリーズ、楽しんでいただければ幸いです。

 

 

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2016,6,22拍手up

2016,7,19up