試し読み Nighemare -side M-

 

 

 

 

 
「ん…んう…」
 
壁際に設えられたベッドの上で、ミリアリアは堪えきれない声を必死で押し殺していた。
呼吸もままならないほどに激しいキス。
いつもそれを自分に与えてくれるのは、ディアッカ。
だが今それをミリアリアに与えているのはディアッカではなく、×××だった。
激しく舌を絡められ、飲みきれなかった唾液が頬を伝う。
卑猥な水音はきっと、一部始終を見ているディアッカにも聞こえているだろう。
一度意識してしまったら、途端に恥ずかしさがこみ上げて。
ミリアリアは固く目を閉じ、声を堪えながら×××の唇を受け止め続けた。
 
「なんで声、我慢してんの?」
「っ、や…っ!」
 
するりとスカートを取り去った×××の手が、下半身を覆うストッキングにかけられる。
「邪魔だから脱がすよ?」
「いや…いやぁっ!」
一気に下着ごとストッキングを取り去られ、続けて上半身に残った衣服も床に投げ捨てられる。
「肌…真っ白だな…」
舐めるように上から下まで見つめられ、ミリアリアはかぁっと頬を染めた。
だが×××の唇が首筋に落とされると、どうしても甘い吐息が漏れてしまう。
ゆっくりと移動してきた唇に胸の頂を優しく吸われ、ミリアリアの腰が跳ねた。
 
「ひあっ!ああ…あ、んっ」
「こんなに硬くして…あいつが見てるから余計に感じちゃう?」
「ちがっ…そんなの、んあっ!」
「じゃあなんでこんなに勃ってんの?ココ。」
 
ぴん、と指で頂を弾かれ、ミリアリアは堪らず声をあげた。
「感じやすいんだな、ミリアリアって。…じゃあ、こっちはどうなってる?」
こっち、がどこを指すのかなど、分かりすぎるくらいに分かっていて。
ミリアリアは閉じたままの足に力を込め、ぎゅっと目を瞑った。
「あいつがどうなっても、いいの?」
くるくると頂を捏ねるように弄びながら、×××が耳元で囁く。
「い、や…ディアッカに…なにも、しない、で…」
「じゃあ力抜いて?出来るだろ?」
ディアッカの名を出され、一瞬気を抜いた隙にぐい、と膝裏に手がかけられ、そのまま大きく左右に広げられる。
外気に触れたそこがひく、と反応するのが自分でも分かり、ミリアリアは両手で顔を覆い悲鳴をあげた。
 
「いやああっ!見ないで!」
 
ディアッカにしか見せたことのない、触れさせたことのない場所。
そこをディアッカの目の前で、別の男に暴かれている。
「ん…まぁまぁ濡れてるな。まだ触ってもいないのに、やっぱりあいつに見られてるからかな?」
的確に羞恥心を煽る言葉を落としながら、×××は小さく顔を出した敏感な芽にそっと触れた。
 
「んああ!だめ…っ!」
「でも、気持ちいいだろ?ほら。」
「ひ、うっ!あん、あ…い、やっ!」
 
がたん、と硬質な音が耳に飛び込み、ミリアリアははっと目を開ける。
それは、拘束されているディアッカが、身じろいだ音。
 
「ったく…おとなしく見てろよ、ディアッカ。お前に見られてこんなに濡らしてるぜ?ほら。」
「っ!や、やめて!」
 
濡れた指をディアッカに見せつけるように掲げ、×××はぺろりとそこに舌を這わせた。
「いいじゃん。別に心まで奪うつもりなんてない。気持ちいいんなら素直になっちゃいなよ、ミリアリア。」
「あ、あああ!」
 
唐突に指を挿し込まれ、ミリアリアは大きく喘いでしまう。
こんな声、聞かれたくない。
それなのに、ミリアリアの身体は与えられる愛撫にどんどん熱くなっていって。
 
「っく、ん…んんっ」
甘く痺れるような快感に、ミリアリアは自らの手で口を塞いだ。
「素直じゃないなぁ…じゃあ、もうやめる?」
「…え?」
指を引き抜かれ、ミリアリアは思わず目を開け×××を見上げた。
やめる、と言ったのだろうか。今、×××は。
「×××…?」
訝しげな表情のミリアリアを見下ろし、×××はいたずらを思いついた子供のように、笑った。
 
「使ったことある?コレ。」
 
どこに隠し持っていたのか、×××の手には小さな機械。
がたん、と再びディアッカが椅子を鳴らし、ミリアリアの目が恐怖で見開かれた。
 
 
 
 
(作中の「×××」はキャラ名となります。ネタバレ防止の為、伏字とさせていただきました。)
 
 
 
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