少年たち

 

 

 

 
今まで自分がいた屋敷から飛び出し、豪奢な扉を勢いよく閉める。
中から自分を呼ぶアルフォンスの声が微かに聞こえたが、知った事ではない。
手にした柔らかいマフラーを乱暴に首に巻き付けると、ディアッカはその場から駆け出した。
 
 
 
 
きっかけは、些細な会話からだった。
「なぁディアッカ、お前のマフラーってもしかして…」
アルフォンスがソファに掛かっていたいかにも上質そうなマフラーを手に取ると、ディアッカはにやりと不敵に笑った。
 
 
「ああそれ?なんかさぁ、こないだ知り合った女がくれたんだ。それってもしかして有名なブランドだったりすんの?」
興味無さげでありながら、若干の自慢が入った小生意気な口調に、アルフォンスはムッとした表情を浮かべた。
 
 
「12歳のガキが持つにはちょっと早いんじゃねぇの?つーかお前、ガキのくせに盛り過ぎじゃねぇ?」
「あー?こっちは興味なくても、女の方でいろんなもん持ってくるんだっつーの。来るもの拒まず、ってやつ?」
 
アルフォンスはディアッカよりひとつ年上だ。
幼年学校を卒業し、マティウスではそれなりに名の知れたアカデミーに進んでいると聞いたが女の噂はあまり聞いた事がない。
…と言うよりも、弱冠12歳のディアッカに女の噂が立つ事の方が問題ありではないのか、と二人の会話を聞きながらイザークは渋い表情を浮かべた。
 
 
 
 
ディアッカ・エルスマンは、幼少の頃から親同士の付き合いの関係で顔を合わせているうちに意気投合した友人だ。
今は親友と言ってもいい間柄、とイザークは思っている。
そしてアルフォンス・ジュールはイザークの従兄弟。
こちらもなぜかディアッカとウマが合い、幼年学校が休暇になると二人は自然とイザークの自宅を訪れ、長期にわたり滞在するのが習わしのようになっていた。
もっとも、ディアッカに関しては実の父親とそりが合わず、フェブラリウスの自宅に居づらいと言うのが一番大きな理由のようだったが。
 

豪奢な金髪にアメジストのような紫の瞳と精悍な浅黒い肌を持つディアッカは、イザークと同い年とは思えない程に男の色気を漂わせ始めていた。
最もイザークも他人から見れば充分過ぎるくらいに眉目秀麗な少年だったのだが、本人に残念ながらその自覚は無かった。
 

幼い頃からディアッカをよく知っているイザークだったが、最近の彼はどこかおかしい。
昔から父親と折合いが良くない、と言うのは母から聞かされていた。
だから、ディアッカが長期休暇になる度わざわざシャトルに乗ってまで自分の自宅を訪れ、ぎりぎりまで滞在して行く事もよしとしていた。
イザーク自身なかなか友人が出来づらいせいもあり、本音で話せるディアッカや従兄弟のアルフォンスの訪問は、休暇中の密かな楽しみでもあったのだから。
 
 

「アリー、そろそろ支度しないといけないんじゃないか?」
 
 

この違和感はなんだろう。
そんな事を思いつつ、イザークはソファに引っ掛けておいたアイボリーのマフラーとコートを手にする。
この後、アリーが抱えている課題の参考書を物色する為、三人は出かける予定を立てていた。
と、その一連の動作を目で追っていたディアッカがイザークの手にしたマフラーに視線を移し、少しだけ意地の悪い表情を浮かべた。
 
 

「お前…まだそのマフラー使ってたの?物持ちいいねぇ。」
 
 

イザークが手にしていたのは、幼年学校に入学して間もない頃、エザリアが編んでくれたマフラーであった。
その頃既に政治家として表舞台に立っていたエザリアが、忙しい合間を縫って丁寧に編んでくれたマフラー。
秘書に教わって編んだと言うそれは、数カ所だけ編み目がいびつで、だがそこも気に入っていたイザークは長年そのマフラーを愛用していた。
丁寧にクリーニングをして保管しているおかげで、編み目がほんの少しだけいびつな他は劣化も無く、温かみのあるエザリアの愛がこもったマフラー。
それを馬鹿にされた気がして、イザークは思わず険のある眼差しでディアッカを睨みつけた。

 
「あいにく俺は貴様と違ってものを大事にする質なんでな。それに、気に入ったものを大切にする事のどこが悪い?」
「エザリアさんが昔編んでくれたやつだろ?手編みのマフラーねぇ…。お前はもうちょっと他にも目を向けた方がいいんじゃねーの?」
「おい、ディアッカ…」
 

売り言葉に買い言葉のような応酬に、部屋の空気が変わる。
いち早くそれを察知したアルフォンスがやんわりと止めに入るも、火がついた二人の言葉は止まらなかった。
 

「俺はお前のように軟派な性格でもないんでな!お前こそ、来るもの拒まずなどと浮ついた事を言っていると、今に痛い目を見るぞ!」
「はぁ?何だよ痛い目って。意味分かんねーしぃ」
「それにお前、先日もお父上から色々と買い与えられていただろう!母上から聞いているぞ!
休暇の度にここへ来るのもいいが、いつまでも避けてばかりなどいないでお父上のお気持ちも少しは考えたらどうだ?」
「イザーク!いいかげんにしろ!」
 

アルフォンスの鋭い声と、ディアッカの表情がそれまでと一変したのはほとんど同時だった。
 

 
「……お前には、一生分かんねーよ。」
「なに?」
 
 

眉を顰めるイザークから視線をそらしたまま、ディアッカは硬い表情でマフラーを手に素早く立ち上がった。
「ここにいない方がいいなら、俺は出てく。じゃーな。」
「っ…」
静かに怒気を漲らせたディアッカはくるりとイザークに背を向け、足早に部屋を出て行く。
「ディアッカ!どこ行くんだよ、おい!」
慌てて立ち上がりディアッカを呼び止めるアルフォンスを、イザークは呆然とただ眺めていた。
 
 
 
***
 
 
 
「さむ…」
 
 
思わず口から零れた呟きに顔を顰めると、ディアッカはマフラーをしっかりと巻き直した。
本当ならコートも持参していたのだが、それは今ジュール邸に置かれたままで。
今更取りに帰るなどプライドが許さず、ディアッカは忌々しげに溜息をついた。
 
 
『いつまでも避けてばかりなどいないで、少しはお父上の気持ちも考えたらどうだ?』
 
 
イザークの言葉が脳裏に蘇り、ディアッカの眉間に皺が寄る。
あいつには分かりっこない。
母親だけの家庭とは言え、物心ついたときからしっかりと愛情を受けて育って来た、あいつには。
 
 

遺伝子学の研究者であったディアッカの母は、まだ彼が幼い頃に父であるタッド・エルスマンと離婚し、息子であるディアッカを父に託して家を出て行った。
そしてコペルニクスに移住後、現地で起きたブルーコスモスのテロに巻き込まれて死亡した。
両親が離婚に至った理由など、ディアッカは知らないし、聞いた所で父が教えてくれるとは思えなかった。
父が口にするのは、いつだってディアッカに対する小言や諦めまじりの溜息だったのだから。
それでも季節が変わり、デイアッカが成長する度にタッドはどこからともなく大量の服や装飾品、幼年学校で使う勉強道具などをこれでもかと買い揃えた。
それはまるで、物さえ与えておけば父親としての務めを果たした、と言われているようで。
12歳とは言え、まだ幼いディアッカには父の本心など知り得なかったし、知りたいとも思っていなかった。
 
イザークの事を羨ましいと思った事は無い。
深層心理、と言う言葉をまだ理解していないディアッカは、少なくともそう思っていた。
イザークの母で、父であるタッドの友人でもあるエザリアが編んだ手編みのマフラーを初めて見たのは、8歳か9歳の頃。
優しい笑顔でマフラーをイザークの首にふわり、と掛けるエザリアと、そんな母を見上げて滅多に見せる事の無い極上の笑顔を見せるイザークを遠目で眺めながら、ディアッカの心はぎりぎりと軋んでいた。
そんな感情をディアッカ自身持て余していたが、幼い頃から身につけた処世術でそれを表に出す事はしなかった。
そうして時は流れ、12歳の冬。
思いもよらぬ形で当時の感情を思い出し、またイザークの言葉に痛い所を突かれて激昂したディアッカは、行く宛も無くマティウスの街をとぼとぼと歩く羽目になったのだった。

 
 
何故自分には、父親しかいないのだろう。
何故母親は、息子であるディアッカを置いて一人出て行ったのだろう。
 
 

何度も自問自答した疑問。
母の友人であったと言うエザリアに一度だけ尋ねた事があったが、エザリアは困ったように微笑み、こう言った。
 
 
『あなたにもいつか大切な人が出来るでしょう。そうしたらもう一度聞きにいらっしゃい。きちんと説明するわ。
でもね、これだけは忘れないで。ティナはあなたを疎んじた訳じゃない。それだけは分かってあげて。』
 
 
そう言ってそっと頭を撫でる温かい手。
だがそれは、自分だけのものではない。
幼心にそう感じたディアッカは、またひとつ、諦める事を覚えたのだった。
 
 
 
 

ふとディアッカが顔を上げると、目の前には小さな公園。
そう言えば何年か前、今より幼い頃イザークやアルフォンスと一緒に一度来た事がある場所だった。
マティウスの街にそれほど詳しくないディアッカだったが、ぐるぐると歩いているうちに偶然辿り着いてしまったようだ。
確かあの時は、フェブラリウスに帰る当日の事で。
迎えに来たタッドをぎろりと睨み上げるディアッカに、エザリアは苦笑しタッドは僅かに困惑した表情を浮かべていたものだった。
 
 
確かに、イザークの言葉は的を射ていた。
タッドはディアッカに不自由な思いをさせないようにと、衣類でもそれ以外でも、必要なものは大抵手配してくれる。
そこで金を惜しむなどと言う事はもちろんしなかったし、家人に言えばディアッカの手には分不相応な位の小遣いが握らされた。
今思えば、それは不器用なタッドなりの愛情表現だったのだが、12歳の少年にそのような事情など分かるはずも無かった。
 
 
「どれだけ金かけたって…一番欲しいものは用意出来ねぇじゃん。馬鹿じゃねぇの。」
 
 
少々サイズ的にきつくなってしまったブランコに腰掛け、ディアッカはぽつりと呟く。
フェブラリウスの自宅にいても、タッドがそこへ戻る事は週の半分も無い。
例え戻ったとしても、だだっ広い食卓にたった二人で座り、会話も無い中食事をするなどまっぴらだった。
だからディアッカは、休暇の度にイザーク・ジュールの自宅を訪れ、滞在していたのだ。
ここにいれば、自分は“エルスマン家の跡取り”でも“市長の息子”でもない、ディアッカ・エルスマンとしていられる。
幼年学校にいる時のように変に気取る必要も無ければ、どこかから湧いて出て擦り寄って来る女もいないし喧嘩をふっかけてくる同級生もいない。
気を使わず、素の自分でいられる場所。
ジュール邸は、ディアッカにとって数少ないそんな場所だったのだ。
 

だが、イザークの言葉にディアッカはそんな気の休まる場所を失おうとしている事に気付いた。
自分ももう、12歳。
イザークやアルフォンスにも、それぞれ自分達の生活、と言う物が出来上がって来ているのかもしれない。
そして自分は、知らないうちにそれを邪魔してしまっていたのかも、しれない。
彼らは従兄弟同士、そして自分はーーー他人、なのだ。
親同士の付き合いとは言え、甘えてばかりなどいられない。
 
 
 
ーーフェブラリウスに、帰ろう。
 
 
 
幸い、ポケットにはカードの入った財布が入っていた。
手持ちの現金は少ないが、宙港へ行けばこのカードでシャトルのチケットを買えるだろう。
自分の荷物は、自宅に戻った後ジュール邸に連絡をして送ってもらえばいい。
ディアッカは勢いをつけ、ブランコから立ち上がった。
一度決めてしまえば、即行動する。迷ってはいけない。
……迷えば迷うだけ、自分が辛くなるのだから。
 
 

「ぃ…っか」
風に乗って耳に届いた、小さな声。
ディアッカは怪訝そうな顔で振り返りーーぽかんと口を開け、そのまま固まった。
 
 
 
「な…イザーク…?」
 
 
 
そこには、真冬だと言うのに汗をびっしょりと浮かべ、肩で息をするイザーク・ジュールが立っていた。
 
 
「き…さま!一人で勝手に誤解してっ!どういう、つもりっ…!!」
「ちょ…おい、大丈夫かよ!」
 
 
げほげほ、と咳き込んだイザークに、ディアッカは慌てて駆け寄る。
そして背中を擦ろうと腕を伸ばしーーぴたり、とその手は空中で止まった。
ついさっきまで脳内を巡っていた思いが、動きを止めさせたのだ。
 
 
「……お前から言われて、まぁ、色々考えたんだ。俺、フェブラリウスに戻るわ。」
 
 
ディアッカの抑えた口調に、やっとの事で息を整えたイザークの目が見開かれる。
 

「親父から逃げてるつもりはねぇけどさ。結果的にそう見られてもしょうがねぇよな。
それにお前やアルだって、俺が転がり込んでたら自分らの友達と会うのも気ぃ使うだろ?…悪かったな。気が回んなくてさ。」
「な…」
「てことでさぁ。このまま宙港行くから、俺の荷物てきとーにまとめて送ってくんない?面倒だったらメイドに…」
「…分かってないのはお前だディアッカっ!!!」

 
きぃん、と響くイザークの怒声に、思わずディアッカは片手で耳を押さえた。
 

「勘違いも甚だしい!俺はお父上の気持ちを考えろ、と言っただけで、お前に出て行けなどと言ったつもりは無い!」
「っ…でもそれって、突き詰めたら結局そう言う事だろ?」
「違う!馬鹿だなお前は!!」
「馬鹿って…お前なぁ!」

 
あんまりな言葉にカチンと来たディアッカも、イザークにつられたのか口調が変わる。

 
 
「ここ最近のお前の話と言えば女の事ばかりじゃないか!どこか最近雰囲気が変わった、と心配していた俺の身にもなってみろ!
俺はてっきり、お父上との関係で何かあったのかと…」
「……はぁ?」
「それに!俺はお前に気など使わん!アルも同じだ!気を使わないからこそこうして長い時間一緒にいられるし、言いたい事も言える!
それが言うに事欠いて、友達と会う、だと?悪いが俺はお前やアルほど気が合う友人なんていない!お前らはどうだか知らないけどな!」
 
 

激昂したイザークの叫びを、ディアッカは黙って聞いている事しか出来なかった。
いや、聞かなければいけない気がしていた。
何かとても大切な事をイザークは口にしている、そんな気がしたからだ。
 
 
「…楽しみにしてたんだ。いつも。お前達が来るのを。」
 
 
ぽつりと落とされた言葉。
ディアッカははっと顔を上げる。
そこには、寂しげな目をしたイザークが俯き、立っていた。
ーーーああ、そうか。
すとん、とディアッカの中で何かが腑に落ちる。
イザークやアルと交わす当たり前の会話、当たり前の光景。
それは自分だけでなく、イザークもまた心から欲していたものだったのだ。
そう言えばエザリアが昔タッドに、イザークになかなか友人が出来ない、と零しているのを目にした事がある。
その時は聞き流したものだったが、イザークもまた政治家を親に持ち、人知れない悩みもあったのだ。

 
自分には無い、母親と言う存在をイザークは持っている。
だが、それが何だと言うのだろう。
マフラーの件は、きっかけに過ぎない。
イザークはきっと、子供から少年に変わって行くディアッカに気付き、不安を覚えたのだろう。
あと3年で自分達は成人する。
そうすれば婚姻統制の対象にもなり、自分達をとりまく環境はどんどん変化して行く。
そして、最近声高に主張され始めたナチュラルとの確執。
穏健派は対話での解決を求めているが、場合によっては戦争が起こるかもしれない。
同じ政治家を父に持ちながらほとんど会話らしい会話を持たないディアッカとは違い、イザークは母からそう言った話を聞く機会もあるはずで。
きっと真面目な彼は、そう言った事でも思い悩んでいたのだろう。
そしてそんな彼の心の拠り所が、自分やアルと言う、気の置けない友人、なのかもしれない。
イザークとアルがディアッカにとって、父との確執を忘れ、心から笑って過ごせる拠り所であるように。
 
 

「…ごめん、イザーク。」
「っ…!な、いきな…ごほっ!」
「あーあー、もうさぁ、無理に喋んなって」
 
 

素直に謝罪したディアッカに驚いたのか、イザークがまた咳き込む。
その背を、ディアッカは慣れた手つきで擦った。
もう、伸ばした腕が止まる事は無かった。

 
「最近さ。なんか女にやたら声かけられる事が増えて。興味が無いって言えば嘘になるけど、面倒だから別に拒絶もしないでいた。
したらそれに比例して、喧嘩売られる事も増えた。ちょっと考えれば分かるよな。嫉妬とか、その女を狙ってたとかさ。」
「ごほ…え?」
「女と遊ぶのは嫌いじゃない。でも、きっと俺は一生、一人の女にどうこう…ってのは無いと思う。なんとなくだけどさ。
でもそんなのおかまいなしに、周りはどんどん変化してって。でもそんな中で唯一変わらないのがお前とアルがいるジュール邸だったんだ。」
「ディアッカ…」
 

呆然と自分を見つめるイザークから目を逸らし、ディアッカは豪奢な金髪をわしゃわしゃと乱した。
 
「あー、だからさ。俺も、楽しみだった、って事。休暇の度マティウスに来て、お前らと会うのが!
そりゃ確かに、親父と二人実家にいるのも窮屈、って理由も無い訳じゃない、けどさ。
だからお前に親父のコト言われて、ちょっと先走った…かもしれないから。悪かった。」
 
イザークは黙ってディアッカの告白を聞いた後、ぽつりと尋ねる。
 
 
「……休暇が終わるまで、うちにいるか?」
「……いてもいいなら。」
 
 
その瞬間、イザークの口元が綻び。
「ふ…っ、はは…あははは…!」
滅多にここまで笑う事が無いイザークに、ディアッカはぽかんとその姿を凝視し…くす、と笑顔を浮かべた。
「笑い過ぎじゃねぇ?」
「おっ…お前、が、悪いっ!大体、早とちりもいいとこ…はははっ!」
そう言って笑い転げるイザークを、ディアッカもまた笑顔で眺める。
一人では難しく考えてしまう事も、こうして腹を割って話せばまた違って来るのかもしれない。
 
 
「なぁ、こんなとこで爆笑してても時間もったいなくねぇ?…帰ろーぜ。」
「あ、ああ…。アルには自宅で待ってもらってる。帰ったらお前、きっと文句言われるぞ。」
「参考書探しにはちゃんと付き合うっつーの!」
 
 
ああ見えて心配性なアルはきっと、ディアッカの頭に拳のひとつでもお見舞いしてくれるだろう。
それもまた、気の置けない友人同士だからこそ、とディアッカにはちゃんと分かっている。
イザークに促され、そんな事を考えながらディアッカはゆっくりと公園の出口に向かい歩き始めた。
 
 
 
***
 
 
 
一生を一人の女に捧げる事は無いと思う、と言い切ったディアッカ。
そんな彼を根幹から変えてしまう少女にディアッカが出会うのは、それから5年後。
諦める事で自分を納得させていたディアッカが唯一諦められなかった少女は、一度は彼の元から去って行く。
そして再び二人は出会い、物語は始まる。
それはまた、別のお話ーーー。
 
 
 
 
 
 
 
007

 

 

 

ミリアリアが欠片も出て来なくてすみませんorz
思春期?なディアッカとイザーク、そしてオリキャラなアルのお話。
私の中でのディアッカは、幼少期から「諦める事」を知っている少年だったと思うんです。
(公式ではもちろんそんな事は無いと思います。あくまでも「手を繋いで」の中では、です。)
多感な少年時代のDYを書いてみようと作成したこちらのお話、皆様にはどのように感じられた
でしょうか?
この後二人はザフトに入隊し、二度の大戦をくぐり抜けます。
イザークの不安定さもディアッカの諦観ぶりもその頃になるとだいぶ様変わりしておりますね。
何よりディアッカのミリアリアに対する溺愛ぶりがそれを如実に表しているかと思います(笑)

 

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