3, 触れた指先にうずく熱

 

 

 

※この作品には性的描写が含まれています。
苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。
閲覧は自己責任でお願いいたします。

 
 
 
 
何か温かいものが、指先に触れている。
ディアッカはゆっくりと目を開けた。
 
 
見知らぬ部屋。見知らぬベッド。
ここは、どこだ?
ディアッカはぼんやりとしながら、ふと自分の手に視線を移しーーー驚きのあまり言葉を失った。
 
 
そこには、ディアッカの指に自分の指を絡めたミリアリアが、ベッドの脇に凭れて眠り込んでいた。
 
 
「え?ミリ…ィ?」
ミリアリアの小さな手がディアッカの指を絡めとり、それに寄り添うように顔が寄せられている。
その姿を目にし、ディアッカの頭に先程までの記憶が一気に蘇った。
 
ここは地球で。
ディアッカがいるのはカガリが用意してくれたアスハ家の別邸で。
自分は裁判が終わった後何日も不眠不休で任務をこなし、月基地を経由して地球に降り。
ミリアリアに会う為に、オーブへやって来たのだった。
 
 
 
慌てて起き上がったディアッカは、バスローブ姿の自分に気付き今度は絶句する。
ミリアリアが入浴している間に荷物を解いて着替えをするはずが、つい眠り込んでしまったようだ。
荷物を広げたソファに目をやると、そこは綺麗に片付けられ、衣類も全てきちんと畳まれている。
放り出しておいた軍服も濡れたタオルも、どこかに消えていた。
 
 
そっとミリアリアの手から自分の指を抜き取り、ディアッカはベッドを降りて膝をつく。
「ん…」
ミリアリアが僅かに身じろぎ、ディアッカはそのあどけない寝顔につい笑みを浮かべた。
そっとその体を起こし、抱き上げてベッドに降ろす。
自分と同じシャンプーの香りに、ディアッカの胸がどくんと疼いて。
 
ディアッカは力の抜けたミリアリアの細い体を、思わず抱き締めていた。
 
 
 
 
誰かが、自分の名前を呼んでいる。
ミリアリアはうっすらと目を開けた。
「…ミリィ」
「…ディアッカ」
回らない頭でぼんやり名前を呼んだら、そのまま抱き締められ、二人はベッドに倒れ込んだ。
「あの…ディ、アッカ?」
「ちょっと黙ってろ」
ぎゅうぎゅうと抱き締められ、ミリアリアはどうしたらいいか分からずされるがままになる。
温かい胸に顔を押し付けられ、ミリアリアは息苦しくなり身じろいだ。
 
 
「ねぇ…どうしたの?」
そっと問いかけるも、返事は、無い。
何か私、怒らせるような事したかしら…?
だんだん心配になって来たミリアリアは、とにかくディアッカと話さなければ、と腕の中から抜け出そうとしたが、回された腕が緩む事は無かった。
「ディアッカ…ちょ、くるし…」
「なぁ、ミリィ。」
いつもと違う声に、ミリアリアは驚いて顔を上げる。
 
「こうやってさ。二人で眠ったよな。AAで。」
 
ディアッカの瞳が、柔らかく細められる。
その瞳に浮かぶのは…切なさ?焦燥?
「…うん。私も同じ事さっき考えてた。」
「え?」
意外だったのか、ディアッカが目を丸くする。
 
「あの頃…トールの事があってろくに眠れなかったけど、ディアッカと一緒なら眠れたの。
あったかくて、安心出来て。だから…」
「だから、何?」
 
ミリアリアは真っすぐ紫の瞳を見上げ、気持ちを伝えた。
 
 

「また、一緒に…寝たいな、って、思ったの」
 
 
その言葉にディアッカはひゅ、と息を飲み。
次の瞬間、ミリアリアは手首を掴まれディアッカに組み敷かれていた。
 
 
 
 
「んぅ…っ、は…ぁ」
ミリアリアは息苦しさに思わず声を上げた。
いきなり始まった、深いキス。
ディアッカの舌がミリアリアの咥内をくまなく蹂躙し、そのまま舌を絡めとられる。
ミリアリアの瞳に、生理的な涙が浮かんだ。
 
 
今までも深いキスをされた事はあった。
でも、今日のこのキスは…それとは違う。
今までのキスよりも、もっと深くてーーー淫らで。
ちゅ、ちゅく、と聞こえる卑猥な音に、ミリアリアの体が微かに震える。
息苦しさに耐えられなくてディアッカのバスローブを必死に掴むと、やっと唇が解放された。
 
「…いいけど…多分、寝るだけじゃ終わんないぜ?」
 
ミリアリアはぼんやりとディアッカの顔を見上げる。
 
「…それって…ん、あっ!」
 
首筋に唇を落としただけで、ミリアリアは細い体をびくりと震わせた。
構わず、ルームウェアに手を突っ込み、小さな胸に手を伸ばす。
長い指でそっと摘み上げたその頂は、硬く張り詰めていた。
「ひゃ…っ!」
「色気のねぇ声出すなよ」
なぜかいつになく緊張しているディアッカだったが、その反応についくすっと笑った。
「だって、あの、私…。」
「なに?」
ミリアリアの目が泳ぎ、頼りなげな視線がディアッカを見上げる。
ディアッカはその視線を受け止め、ミリアリアの瞳が潤んで不安げに揺れている事に気付いた。
嫌がられては、いない。
それはディアッカにも理解出来たのだが、ではなぜこんなにもミリアリアは戸惑い、不安げなのか。
 
「…ミリィ?」
 
ディアッカの体の下で恥ずかしそうに視線を彷徨わせていたミリアリアが、その言葉に反応しておずおずとディアッカを見上げ。
潤んだ瞳を揺らしながら、小さな声で囁いた。
 
 
 
「はじめて、だから…」
 
 
 
ミリアリアの体を弄っていたディアッカの手が、その言葉にぴたりと止まった。
 
 
「はじ…めて?だってお前…」
 
 
恋人、いたんだろう?初めてってどういう事だよ?!
「トールとは、その…。キスまでしか、した事なかったから。」
恥ずかしそうにそんな事を口にするミリアリア。
その声に、仕草に。
緊張していたはずのディアッカの体が一気に熱くなった。
 
 
 
 
「ひゃ…っ、あ…」
ぎこちない感じ方、震える、熱を帯びた体。
やはり怖いのだろう、細い腕はしっかりとディアッカの逞しい腕を掴んでいる。
「服…脱がせて、いい?」
ぴんと張り詰めた胸の頂きを優しく弄りながら、ディアッカはミリアリアの耳元でそっと囁く。
「はぁ、あ…あ、でも…」
「綺麗だから、大丈夫。お前の事、全部ちゃんと見たいから。」
耳にかかる吐息にすら敏感に反応するミリアリアが、固く目を閉じたままそっと頷いた。
 
 
ディアッカはミリアリアの体を包むルームウェアにそっと手をかけ、下着ごとそこから取り去る。
そして自分も手早く身につけているものを脱ぎ去り、その体の下で震えるミリアリアをそっと抱き締めた。
「…ミリィ、肌、綺麗だな。真っ白だし。」
「…嘘、ばっかり…っ、あ…!」
ちゅ、ちゅ、と額や頬、鎖骨に至るまで無数にキスを落とし、ディアッカは宥めるようにミリアリアの柔らかい髪を撫でる。
処女など相手にした事もないディアッカは、出来る限り優しくミリアリアの体を解して行った。
 
 
「力抜いて。大丈夫だから。」
 
 
必死で声を我慢するミリアリアの耳元でそう囁くと、ディアッカはその中心にゆっくりと指を滑り込ませた。
「あ…んっ!あ、や…ディ…アッカ」
初めて感じる甘い刺激に、ミリアリアの腰がびくびくと跳ねる。
 
「痛い?」
「…痛く、ない」
 
ディアッカはその言葉に少しだけ安堵し、埋め込んだ指をそっと動かした。
「きゃあっ!ん…あっ、待って…」
「でも、濡れてきてる」
「やっ…!恥ずかしい、から…っ!ん、あ…言わないで…!」
ディアッカが施す愛撫に少しずつ応えはじめたミリアリアに、ディアッカは言いようのない興奮を覚えた。
 
 
「ここ、こうすると気持ちいいだろ?」
 
 
愛液を絡めた指で、そっと剥き出した肉芽を刺激するとミリアリアの口から色のついた声が漏れる。
「あ、あ、だめ…なんか、変…」
素直に反応するそこをしばらく嬲り続けると、ミリアリアの体が震えだした。
「大丈夫、そういうもんだから。我慢しないでいいよ。」
「こわ、い…ディアッカ…やだ…」
「こわくないよ、大丈夫。ほら、ここ、固くなってるの分かるだろ?」
とどめとばかりにそこをきゅっと摘むと、埋め込んだままの指がぎゅん、と締め付けられて。
「ひあ、ああ…っ!あ……!」
ぴん、と張りつめた細い体が、次の瞬間がくんと弛緩した。
 
 
 
 
「ふ…あっ!」
 
ディアッカの唇が首筋を這い、達したばかりで体中が敏感になっていたミリアリアは思わず声を上げる。
耳にもキスを落とされ、熱い息がかかると、じくり、と体の中心がうずいた。
 
体が、熱くて、言う事をきかない。
自分のものとは思えない、濡れた声。
与えられる刺激に、勝手に反応する体。
次に何をされるのか、こんなときどうすればいいのか。
分からない事だらけのミリアリアは、不安と羞恥のあまり、いつしか碧い瞳に涙を浮かべていた。
 
 
「AAでさ、寝てるお前を抱き締めながらずっと迷ってた。
このまま…お前を俺のものにしたらどうなるんだろう、って。」
 
 
その言葉に、どくん、とミリアリアの心臓が跳ねた。
 
 
「今までの俺ならそんなこと考えもしなかった。
でもお前にはそう出来なかった。…どうしてか、分かる?」
 
 
ミリアリアはゆるゆると首を振った。
確かに、ミリアリア自身も疑問に思ったのだ。
恋人同士、ひとつのベッドで何もせずにただ寝るだけ、ではすまない事くらいミリアリアも知っている。
AAにいた頃、そのつもりでディアッカの部屋に行った訳ではなかったが、そうなるかもしれない、とは心のどこかで常に思っていた。
ーー覚悟が出来ているかと言えば、そうではなかったのだが。
 
「…怖かったんだ。」
「え…?」
 
ディアッカの長い指が、ミリアリアの頬をそっと撫でる。
その指は、微かに震えていた。
 
 
「プラントと地球で離ればなれになって。万が一俺が軍事裁判で処刑されちまったら、お前はまたひとりになっちまう。
恋人を…大切なものを無くして傷ついてるお前が、それでまた傷つく事になる。
そう思ったらさ…確実に再会出来る確証もないまま、お前の事、抱けなかった。俺らしくもねぇ話だけどさ。」
 
 
切なげに薄く笑うディアッカを、ミリアリアは言葉も無くただ見上げた。
 
 
「どうしようもなく、俺はお前が、好きなんだ。
だから情けないくらい、お前に関しては臆病になっちまう。
…カッコ悪ぃよな。」
 
「…そんなこと、ない」
 
ミリアリアの口から零れ落ちた小さな囁き。
ディアッカは驚いたようにミリアリアを見下ろした。
 
 
「…もし、あのまま軍事裁判でディアッカが処刑されて、もう二度と会えなくなっちゃったとしたら。
私、きっと後悔してた。どうして一度でも、好きな人に抱いてもらわなかったんだろう、って。」
「ミリィ…」
「トールの事も、気にしてくれてたんでしょ?」
碧い瞳が、狼狽えるディアッカを映し出す。
 
 
「トールを殺したのは、戦争よ。あんたじゃない。
トールを想う気持ちと、あんたを好きになった気持ちは別なの。
確かに、どうしようもなく悲しかったわ。トールがいなくなって、どうしたらいいかなんて分からなかった。
周りに心配かけたくなくて、現実を受け入れなきゃと思ったけど、結局一人で泣くことしか出来なかった。
でも、そこから私を救い出してくれたのは…ディアッカでしょう?」
 
 
「ミリアリア…」
ディアッカの紫の瞳が、揺れた。
 
「トールがいなくなって間もないのにディアッカに惹かれた自分を許せないと思った。
だけど、都合がいい、って言われても…もう、無くしたくないって思ったから、嘘をつくのはやめたわ。」
 
ミリアリアは腕を伸ばし、ディアッカの頭を自分に引き寄せた。
 
 
「やっぱり、馬鹿で…優しすぎなのよ…あんたは。」
「ミリ…」
戸惑うディアッカに、ミリアリアはふわりと笑いかける。
 
「かっこ悪いなんて思わない。私が好きになったのは、そういうディアッカだから。」
 
そうしてミリアリアは、自分からディアッカにキスを送った。
 
 
 
 
 
 
 

007

大切に想うが故に、ミリアリアを自分のものにする事を自制していたディアッカ。
大切に想うが故に、戸惑いや不安を胸にしながらもディアッカに体を許したミリアリア。
そして、ミリアリアが“はじめて”だと知ったディアッカは…。

 

 

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お題配布元「確かに恋だった」

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