ラベンダー

 

 

 

 
「ちょっとディアッカ!真面目に仕事しなさいよ!」
「家に仕事持って帰って来てる時点で真面目じゃねぇ?」
「じゃあ私を膝に置いとく必要はないでしょ?!」
 
 
プラント、アプリリウスにあるアパートの一室。
数々の困難を乗り越えようやく結婚した二人は、食後のひとときを大変騒がしく過ごしていた。
「だってミリィ、俺が仕事すると部屋出てっちゃうじゃん。」
「邪魔しない配慮、と言ってもらいたいわね?」
ぷぅ、と腕の中でむくれる愛しい妻を、ディアッカは優しく抱きしめる。
「じゃ、隣に座っててくれる?」
ミリアリアは苦笑して、溜息をついた。
「もう…分かったわよ。でも、機密とか関係してないでしょうね?
いくら奥さんでも、そう言うのはちゃんと見えないようにしてね?」
「さすがにそんなもん持ち帰らねぇって」
ディアッカは笑いながら、端末の電源をオンにした。
 
 
「…っ!」
 
 
不意に隣で息をのむミリアリアに、ディアッカは不思議そうな顔を向けた。
「なに?」
「べっ!別になんでもない!ほら早くお仕事!」
ディアッカは首を傾げながら端末に目をやりーー少しだけ目を見張ると、にやり、と笑った。
 
 
 
「この写真、良くねぇ?」
「ーーっ!そうね。」
「すげぇ気に入っててさぁ。もう何年も変えてないんだ」
「そう。」
「ラベンダーだよな、これ?」
「そう。…みたいね。」
「どこで撮ったの?これ」
「そう、それ、は…っ!」
 
 
 
ディアッカは再びミリアリアを膝に乗せ、ぎゅっと抱きしめる。
「ちょ、ディアッカ!」
「…やっぱり、お前だったんだ。あの時のメール。」
「なっ!何の事、かしら?」
じたばたともがくミリアリアを、ディアッカはさらに抱きしめる。
 
 
「もしかして、って思ったんだ。あの時も。
でも、どうしようも出来なかった。」
 
 
囁くような口調に、ミリアリアがおとなしくなる。
「あの頃から、俺は助けられてたんだな、お前に。」
「…何の事か、わかんない」
 
どこまでも意地っ張りな腕の中の妻に、ディアッカは強引なキスを送る。
「んっ…!」
ミリアリアから力が抜けるまでその唇を貪ると、ディアッカは細い体を抱いたまま立ち上がった。
 
 
「しらばっくれるんだったら、場所変えて聞こうか?」
 
 
ディアッカの思惑に気づいたミリアリアが、潤んだ瞳で首を振る。
「しごと…するん、でしょ!」
「こっちのが重要事項」
 
そう言ってミリアリアの額に一つキスを落とすと、ディアッカは寝室に向かって歩き出す。
 
 
 
ミリアリアがラベンダー畑の場所をディアッカに教えたのは、それから二時間後の事だった…。
 
 
 
 
 
 
 
007

新婚設定です。

「想いを届けて」の続編…になるのかな?

ミリアリアが匿名で送ったメールに添付した画像を、今でも大切に取っておいたディアッカ。

ひょんな事から画像を目にし、驚きのあまり固まるミリアリア。

勘のいいディアッカの追求にしどろもどろなミリアリアがかわいいです。

それにしても、結婚したって言うのに相変わらずな溺愛ぶりですね、ディアッカ(笑)

 

 

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