I promise I’ll make you happy. -必ず幸せにすると誓うよ-

 

 

 
 
 
手のひらに感じる、温かい感触。
ディアッカはゆっくりと目を開けた。
 
 
真っ白なシーツ。真っ白な壁紙。
回らない頭で、ここはどこかと考え、しばらくしてようやく自宅の寝室だと気づいた。
いつの間に、帰ってきたのだろう?
本部にいたはずなのに、そこから先の記憶がない。
 
 
ゆっくりと記憶を辿り、どうやら自分は任務中に昏倒したらしいと気付いたディアッカは、深く息をついた。
未だぼんやりとする頭と、額から半分落ちた濡れタオルを見るに、どうやら自分は熱があるらしい。
 
 
「情けねぇ…」
 
 
そして、温かい何かを感じ、自分の手に目を向けると。
ベッドの下に敷かれたラグに座り込み、ディアッカの手に指を絡めたまま眠り込むミリアリアの姿があった。
 
 
ディアッカの大きな手に自分の小さな手を重ねて指を絡め、そこに頬を寄せるようにしてくぅくぅと眠るミリアリア。
きっとイザーク辺りがミリアリアに連絡をして、自分をここに運んできたのだろう。
ぼんやりとそんなことを考えながら、ディアッカは空いた手でミリアリアの頬をするりと撫でた。
 
 
『お前は、いなくならないよな?俺のそばから。』
『いなくならない。ずっとそばにいるわ。』
 
 
ディアッカが心の一番奥底に持ち続ける思い。
喪失の、恐怖。
ミリアリアがいない世界。
ディアッカは知らず、絡めた指に力を込めていた。
 
誰にも、させない。
ミリアリアは俺だけのものだから。
 
自分だって疲れているはずなのに、こうしてそばにいてくれるミリアリアをディアッカは愛しく思う。
誰かに必要とされること。
誰かを大切に想うこと。
ディアッカは、それを教えてくれたミリアリアを必ず幸せにしたい、と思う。
 
 
『お前は、いなくならないよな?俺のそばから。』
『いなくならない。ずっとそばにいるわ。』
 
 
随分と、気弱な発言をしてしまった気がする。
あのやりとりは、夢だったのだろうか?
ディアッカはしばらく思案していたが、気怠げにふっと笑うと、ミリアリアと同じように繋いだ手に頬を寄せた。
 
 
どっちでも、いいや。
 
 
ミリアリアになら、たまにはこんな弱い自分を見せてもいい。
ディアッカは目の前にあるミリアリアの髪にそっとキスを送ると、再び目を閉じた。
 
 
 
 
 
 
 
007
 
小話2の、ディアッカ視点です。
ミリアリアになら、素の自分をさらけ出せる。
それって大切なこと、ですよね。
 
 
2014,5,31up
2014,6,26改稿 up