「いくらミリィの手料理が美味しいっていってもさ。たまには外食してミリィに休みをあげないと」
軍服を手渡しながらサイがふと思い立った事を思い立ったまま口にした。
「えー」
ミリアリアの料理が誰よりも、どこのよりも一番だと今日豪語しまくったディアッカは、当然不満顔でぶーたれる。
「サイ、私は別に」
一方のミリアリアも、別に料理が嫌いな訳じゃ無くむしろ好きでやっているのだからと、慌ててサイにそう訴えようと軍服を胸に抱きかかえながら口を開いたら、
「ミリィ。寝る間も惜しんで栄養学の勉強してるの俺知ってるよ?」
思いがけない事実を指摘されて、小さく息を飲みこんだ。
そして隣に立つディアッカも、小さな声で「え」と零したのをサイの耳はしっかりと拾っていた。
やっぱりこいつは知らなかったのか、と思うとなんだか憎らしさすら感じてしまう。
軍人としてMSを駆り、時には白兵戦や銃撃戦といった任務もこなさなければならない、ディアッカの為に。
ミリアリアが、どんな思いでその身を案じながらただ美味しいだけじゃない料理を作っているかを知らなかったなんて、鈍感すぎるにも程がある、とサイは思う。
「……どうしてそれを」
ミリアリアはきっとその事を最愛の夫に一生告げる事などするつもりはなかったのだろう。
だから、自分がこれからも「アイツ」の代わりに言ってやるのだ。
お前たちはこんなにも愛し愛されているんだよ、と。
それでもなんとなく悔しさを感じて、悪戯を思いついたようにサイはつい、憎まれ口を叩く。
「大丈夫だよディアッカなら、さ。ちょっとくらい毒盛ったって死なない体なんだから」
「…毒盛られたら流石に俺だってヤバいだろーが」
「ディアッカも有難くミリィの料理食べなよね。お前の食いしん坊なくせに出っ張らない憎らしい腹はミリィの努力の賜物だからな」
咄嗟に食べ過ぎてちょっと膨れたお腹を押さえるディアッカを見たミリアリアが、ぷ、と吹き出した。
笑われた事が恥ずかしかったらしいディアッカも、苦笑いを浮かべながらミリアリアを見下ろしている。
こんな事で笑い合える、そんな平和なひと時。
サイは、ちょっとだけ目頭が熱くなった事に気が付かない振りをした。
今回合作をして下さったえみふじ様より、こんな素敵なおまけ小噺を寄贈頂きました!
えみふじ様のコメントはこちらです!!
『ディアッカがいかにミリィに愛されているか。